公開日:2025.10.28更新日:2025.10.28

海外旅行に保険証は必要?持っていくべき書類と保険の基礎知識


海外旅行では、現地での体調不良やケガに備えて、保険の準備が欠かせません。一方で、「日本の健康保険証は海外でも使えるの?」「海外旅行保険証はどんなときに必要なの?」と疑問に感じる方も多いでしょう。

実は、日本の健康保険証は原則として海外では利用できず、現地で受けた治療費は全額自己負担となります。安心して旅を楽しむためには、海外旅行保険への加入と、現地での受診時に必要な「保険証(契約証明書)」の携帯が欠かせません。

この記事では、日本の健康保険証との違いから、海外旅行保険証の役割・使い方、さらに出発前の準備まで解説します。

日本の健康保険証は海外で使えない

日本の健康保険証は、国内の医療機関でのみ有効です。そのため、海外でケガや病気になった場合は、原則として全額自己負担となります。ただし、帰国後に「海外療養費制度」を利用すれば、支給対象となる医療費の一部が払い戻される場合があります。

この制度は、日本の公的医療保険(健康保険・共済組合・国民健康保険など)に加入している人が、旅行や出張などで一時的に海外に滞在中に病気・ケガの治療を受けた際に利用できます。

申請の主な条件と注意点は次のとおりです。

項目 内容
対象 日本の公的医療保険に加入している人(旅行・出張など一時滞在中の治療に限る)
手続き方法 帰国後、所属する健康保険組合または市区町村の国民健康保険窓口で申請
必要書類 領収書、診療内容明細書(英文可)、日本語訳、申請書類など
支給内容 日本で同じ治療を受けた場合の「保険診療相当額」を基準に算定
対象外 治療を目的とした渡航、自由診療・美容整形など
申請期限 治療を受けた日の翌日から2年以内
注意点 現地での医療費は一時的に全額立て替えが必要。日本の医療基準を超える治療費は自己負担となる。

 

現地では、救急搬送や入院などで数十万円~数百万円の医療費を請求されることもあります。

そのため、海外旅行保険に加入し、保険証(証券)を携帯しておくことがもっとも確実です。キャッシュレス診療対応の保険であれば、現地での立替払いを避けられます。

海外旅行保険証とは?

海外旅行保険に加入すると、「保険証」または「保険証券」「契約証明書」と呼ばれる書類が発行されます。これは海外旅行保険に加入していることを証明するもので、現地の病院や保険会社の窓口で提示を求められることがあります。

契約形態によっては、紙の原本だけでなく電子版(PDF)やスマートフォンアプリでの発行となる場合もあります。ネット専用保険などでは、郵送による証券発行を省略して「契約確認メール」や「契約証明画面」を保険証の代わりとして利用します。

特にキャッシュレス診療が利用できる提携病院では、受付時にこの「保険証(証券番号)」とパスポートの提示が求められることがあります。提示がない場合や事前連絡をしていない場合は、キャッシュレス対応が受けられないケースもあるため注意が必要です。

また、原本のほかにコピーやPDF版をスマートフォンに保存しておくと、紛失時や緊急時に役立ちます。

海外旅行保険証を使う場面

現地で体調不良やケガ、事故などのトラブルが発生した場合は、保険証(または契約証)を提示することで、現地の医療機関でスムーズに診療を受けやすくなります。以下の流れが一般的です。

① 保険会社の緊急サポートデスクに連絡

まずは、加入している保険会社の24時間対応サポートデスクへ電話します。日本語で対応してくれる窓口が多く、以下のようなサポートを受けられます。

  • 最寄りの提携病院や日本語対応クリニックの案内
  • 症状の伝達や病院予約の代行
  • 現地でのキャッシュレス受診手続きの手配

提携病院であれば、治療費をその場で支払わずに受診できる「キャッシュレス診療」が利用できる場合があります。ただし、保険会社によっては事前にサポートデスクへの連絡が必須なこともあるため、自己判断で病院へ行く前に必ず確認しましょう。

② 病院で保険証(または契約番号)を提示

提携病院では、受付時に保険証(契約番号)とパスポートの提示を求められます。これにより、保険会社と病院間で直接精算が行われ、治療費を立て替える必要がなくなるケースがあります。

一方、提携外の病院では、いったん自費で支払う必要があります。その場合も、後日保険会社へ請求できるように領収書と診療明細書を必ず受け取ってください。

③ 帰国後の保険金請求手続き

キャッシュレス対応がなかった場合や、一部自己負担が発生した場合は、帰国後に保険金を請求できます。その際は、以下の書類が必要になります。

必要書類 内容
領収書 支払金額・通貨・病院名が明記されたもの
診療内容明細書 治療内容や期間が記載されたもの(英文可)
パスポートのコピー 出入国日を確認できるページ
保険証または契約番号 契約情報の確認に必要

 

多くの保険会社では、領収書と診療明細書の原本が必要です。書類を紛失すると払い戻しができないことがあるため、必ず大切に保管しましょう。

電子版・契約証明書も有効

オンラインで海外旅行保険に加入した場合、紙の保険証が届かないことがあります。その場合は、契約完了メールやマイページからダウンロードできる「電子契約証(PDF)」が正式な契約証明書として利用できます。

  • PDFを印刷して旅行書類と一緒に保管
  • スマートフォンに保存(オフラインで開ける状態に)
  • 家族や同行者にも契約番号・連絡先を共有

保険会社によっては、電子契約証のみを発行するケースもあります。通信環境や現地の医療機関によっては紙の提示を求められることもあるため、印刷版と電子版の両方を準備しておくと安心です。

付保証明書が必要なケース(留学・ビザ申請など)

留学や長期滞在、ビザ申請では、保険加入を証明する「付保証明書」の提出を求められる場合があります。多くの保険会社では、申込者の要望に応じて日本語または英語で発行可能です。

国・地域 必要とされるケース
ドイツ・フランスなど欧州諸国 長期滞在や学生ビザで医療保険加入証明を求められることがある
カナダ・オーストラリア 留学ビザで保険加入証明書(または学生保険)を提出する場合がある
東南アジア(マレーシアなど) 一部の長期滞在ビザで医療保険加入が条件となる場合がある

 

証明書の発行には数日かかることもあるため、出発の1~2週間前までに申請しておきましょう。

保険証の持ち歩き方

保険証は、旅先での緊急時に必要な重要書類ですが、盗難や紛失のリスクもあります。次のように、複数の方法で情報を分散管理しておくと安心です。

管理方法 メリット
原本を宿泊先の金庫に保管し、コピーを携帯 紛失リスクを抑えつつ提示が容易
コピーを別のバッグに入れて保管 紛失・盗難時のバックアップになる
スマートフォンに電子データを保存 紙を持ち歩かずに確認できる
家族に契約番号や連絡先を共有 緊急時の連絡・代理手続きがスムーズ

 

保険証を紛失した場合は、契約した保険会社または代理店に連絡してください。契約が有効であれば、証券番号などの情報から補償を受けられる場合があります。ただし再発行に日数がかかることもあるため、コピーや電子版を事前に用意しておくことがもっとも確実です。

保険証と医療準備で、安心の海外旅行を

海外では、気候や衛生環境の違いにより体調を崩すことがあります。特に東南アジアや南米では、A型肝炎・腸チフス・狂犬病などの感染症リスクが高く、出発前の予防接種が推奨されています。

旅行保険と医療準備の両方を整えておくことで、万が一のトラブルにも落ち着いて対応できます。

チェック項目 内容
予防接種 A型肝炎・破傷風・狂犬病などを医師に相談
常備薬 整腸剤・解熱鎮痛薬・経口補水液などを携帯
保険内容 治療・救援費用1,000万円以上をカバーしているか確認
医療機関 滞在エリアの日本語対応病院を事前に調べる

 

併せて、海外旅行保険証(契約証明書)の準備も忘れずに行いましょう。印刷版またはスマートフォンに保存しておくと、現地での受診時にも安心です。

ワクチンナビでは、渡航先や目的に応じて最寄りのトラベルクリニックを検索できます。出発の2~3カ月前を目安に確認し、予防接種や常備薬の準備を早めに整えておくことが、安全で快適な旅行につながります。

この記事の監修者

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記事担当:ワクチンナビ編集部

「ワクチンNavi」 は渡航前に確認しておきたい感染症の情報や、旅行・渡航に役立つ豆知識など様々な情報を発信しております。

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