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公開日:2025.05.28更新日:2025.05.28
海外での生活や旅行は、多くの新しい経験をもたらしてくれる一方で、体調不良や事故などのリスクも伴います。
特に、現地の医療費は日本とは比較にならないほど高額になることもあり、万が一に備えた医療保険への加入は不可欠です。
この記事では、海外で安心して過ごすために欠かせない「医療保険の選び方」と「渡航前に受けるべき予防接種」について、分かりやすく解説します。
海外での生活や旅行は、新しい経験をもたらしてくれる一方、体調不良や事故のリスクも伴います。
特に医療費は日本と比べて非常に高額で、万が一の事態に備えて医療保険への加入は不可欠です。
現地で病気やケガをしても、外務省や在外公館(大使館・領事館)によるサポートが受けられる場合はありますが、治療費や救急搬送費は原則自己負担となります。
そのため、外務省も十分な補償内容の海外旅行保険への加入を強く推奨しています。
また、日本の健康保険は海外では原則使えません。
帰国後に「海外療養費制度」で一部補填を受けることは可能ですが、日本国内での標準治療費を基準に計算されるため、実際に支払った金額との差額を自費負担することになります。
海外渡航前には、必ず医療費をカバーできる保険に加入しておきましょう。
日本では医療費の自己負担が原則3割に抑えられていますが、海外では事情が異なります。
外務省「世界の医療事情」によると、アメリカでは専門医の診察だけで1,000ドル(約15万円)以上、入院すれば1日あたり数千ドル、治療を含めると1日1万~2万ドル(150万~300万円)にもなることがあります。
ニューヨークなどの都市部では、1回の入院で数百万円から1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
参考:世界の医療事情(外務省)
さらに、シンガポールなどの先進国でも、かぜの受診に数万円かかることがあります。
発展途上国でも、緊急搬送や高度医療が必要になると、救援チャーター機で数千万円、重傷治療で数百万円以上かかる場合があります。
場合によっては億単位の医療費が発生するリスクも考えなければなりません。
クレジットカードの付帯保険を利用できる場合もありますが、例えばエポスカードの補償上限は傷害270万円、疾病200万円にとどまります。(出典:エポスカード公式サイト)
高額な医療費がかかる国ではこれだけではカバーしきれず、自己負担のリスクが高くなります。
海外旅行や長期滞在を計画する際には、万が一に備えて適切な医療保険を選ぶことが重要です。
滞在期間や目的に応じて必要な補償内容は異なるため、自分に合ったタイプの保険を選びましょう。
ここでは「短期旅行者向け」「留学生・長期滞在者向け」「駐在員向け」の3種類に分けて、それぞれの特徴と注意点を整理しました。
保険の種類 | 対象者 | 特徴・ポイント | 注意点 |
短期旅行者向け保険 | 3カ月未満の旅行者・出張者 | 傷害・疾病治療費、救援者費用、死亡保障などがパッケージ化
治療費用・救援費用の補償上限は数千万円以上推奨
24時間日本語サポートあり |
クレジットカード付帯保険は補償が不十分な場合あり
既往症は補償対象外になりやすい |
留学生・長期滞在者向け保険 | 3カ月以上の留学・ワーキングホリデー | 長期滞在リスクに対応(賠償責任・住宅損害など)
携行品損害もカバーされるプランあり
現地指定保険加入義務がある場合あり |
現地保険と日本の保険を併用する場合あり |
駐在員向け保険 | 海外赴任者とその家族 | 家族も含めた包括契約
出産・長期入院にも対応できる高額補償設定
現地のキャッシュレス診療提携が充実 |
自社の契約内容を必ず事前確認 |
短期旅行者向けの保険は、傷害・疾病治療費や救援者費用がパッケージ化されており、渡航先の医療費水準に応じて補償上限を高めに設定することが推奨されます。
特に、クレジットカード付帯の保険では補償額が十分でないケースが多いため、不足分を補うために専用の保険加入を検討することが重要です。
留学生や長期滞在者向けの保険は、賠償責任や住宅損害など、長期滞在特有のリスクにも対応した補償内容が用意されています。
留学先や滞在先の制度によっては、現地保険への加入が義務付けられている場合があるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
駐在員向けの保険では、無制限または非常に高額に設定された治療費補償に加え、家族帯同時にも適用できる補償範囲なのか、現地の提携病院でキャッシュレス診療が可能であるかが重要な選定ポイントとなります。
いずれの保険を選ぶ場合でも、治療・救援費用の補償額が十分であること、日本語による24時間サポート体制が整っていることを重視し、複数のプランを比較しながら慎重に選びましょう。
海外での病気やケガに備えて医療保険に加入しておくことは重要ですが、それと同時に「病気そのものにかからないための予防」も欠かせません。
特に海外では、日本ではあまり見られない感染症にかかるリスクがあり、国や地域によっては予防接種が義務付けられている場合もあります。
渡航前に必要なワクチンを接種しておくことで、現地での重症化リスクを減らし、高額な医療費を回避できる可能性も高まります。
ここでは、厚生労働省検疫所「FORTH」の情報をもとに、渡航先で注意すべき主な感染症と、推奨される予防接種について紹介します。
感染症 | 主なリスク地域・対象者 | 特徴・注意点 |
黄熱 | アフリカ・南米熱帯地域
イエローカード提出が必要な国 |
致死率が高い。出発10日前までに接種必須。 |
A型肝炎 | 発展途上国、衛生環境が悪い地域 | 水や食べ物で感染。70歳以下で未接種の場合は推奨。 |
B型肝炎 | 全世界(医療行為や現地での親密接触リスクがある場合) | 血液・体液で感染。未接種なら渡航前に接種を。 |
破傷風 | 世界中(土壌に存在) | 傷口感染。野外活動や辺境地渡航者は要注意。 |
狂犬病 | アジア・アフリカなどリスク高い地域
動物接触の可能性がある場合 |
発症後は致死率ほぼ100%。事前接種を強く推奨。 |
ポリオ(急性灰白髄炎) | パキスタン、アフガニスタンなど流行地 | 流行地域に渡航する場合はワクチン接種推奨。 |
日本脳炎 | 東南アジア・東アジア農村部 | 蚊が媒介。長期滞在者や農村部滞在予定者は接種推奨。 |
麻しん・風しん | 世界中(特に流行地域) | MRワクチン未接種・抗体陰性者は渡航前に接種。 |
髄膜炎菌感染症 | 髄膜炎菌流行地域(例:サウジアラビア巡礼者など) | 致死率・後遺症率高い。渡航先によって証明書提出義務あり。 |
インフルエンザ・新型コロナ | 世界中(季節性流行)
ワクチン接種証明書提出が必要な国 |
渡航先の状況に応じて接種検討。 |
「ワクチン接種は本当に費用に見合うのだろうか」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論からいえば、ワクチンは治療費や社会的コストを大幅に削減できる、費用対効果の高い予防策です。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の試算によれば、幼児期からの予防接種プログラムに1ドルを投資すると、将来的な医療費を約11ドル節約できると報告されています(出典:CDC)。
つまり、ワクチンを受けることで高額な治療費や入院費を回避でき、個人にも社会にも大きな経済的メリットをもたらすのです。
また、ワクチン接種により、高額な治療費リスクを回避できるだけでなく、安心して海外生活や旅行を楽しめるという大きなメリットがあります。
事前にワクチンを受けておけば、こうしたリスクを大幅に減らし、より安全に渡航生活を楽しむことができます。
まずは「ワクチンナビ」で最寄りのトラベルクリニックを検索し、接種計画を早めに立てておきましょう。
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