公開日:2024.02.01更新日:2024.02.27
海外旅行に行くのにワクチン接種証明書がないとどうなる?
海外旅行を計画する際、ワクチン接種証明書の必要性を確認することは非常に重要です。特に、新型コロナウイルスのパンデミック以降、多くの国では旅行者に対して接種証明書の提示を求めています。しかし、新型コロナウイルスのワクチンだけでなく、黄熱病、破傷風、B型肝炎など、さまざまな感染症に対するワクチン接種が推奨される場合もあります。これらは訪問先の国によって異なるため、事前のリサーチが必要です。
また、ワクチン接種証明書は、感染症のリスクを最小限に抑えるためだけでなく、各国の入国規制に対応するためにも必要です。この記事では、海外旅行とワクチン接種証明書の関係性について詳しく説明し、どのような病気に対するワクチンが必要か、どの国がどのワクチンの証明を求めているかなど、旅行前に知っておくべき情報を提供します。旅行の計画を立てる際には、これらの情報を参考にし、安全で快適な旅行を楽しむための準備をしてください。
海外旅行に行くのにワクチン接種証明書がないとどうなる?日本帰国にいつまで必要?
結論として、渡航先によって必要なワクチン接種証明書は異なります。そのため、各国の在日大使館のホームページや公式情報源を確認し、必要なワクチンを接種することが重要です。例えば、アフリカや南米の一部の国々では黄熱病の予防接種証明が求められることがあります。これらの地域以外では、ワクチン接種証明書がなくても入国できる国が増えていますが、これは新型コロナウイルスの状況に大きく影響されています。
新型コロナウイルスのワクチン接種証明書は、現在多くの国で渡航の際に不要になっています。しかし、この状況は各国の感染症の流行状況によって変わる可能性があり、渡航前には最新の情報を確認する必要があります。また、日本国内では新型コロナワクチンの接種証明書がなくても海外渡航が可能ですが、帰国時の規制についても最新の情報をチェックすることが重要です。
さらに、渡航前のワクチン接種は、自身の健康を守るだけでなく、訪れる地域の公衆衛生にも貢献します。特に、感染症の流行が見られる地域への渡航の場合、現地での感染を防ぐためにも、推奨されるワクチンの接種は必要不可欠です。また、ワクチン接種証明書の要件は、国際情勢や感染症の発生状況によって頻繁に変更されることがあるため、旅行計画の各段階で情報を更新し続けることが肝心です。
最後に、ワクチン接種証明書が必要かどうかだけでなく、渡航先の国で要求されるその他の健康証明書や入国条件にも注意を払う必要があります。これには、健康状態に関する宣誓書や、負担可能な医療保険の証明などが含まれる場合があります。これらの準備を適切に行うことで、安心して快適な旅行を楽しむことができるでしょう。
海外旅行に行くのに必要になるワクチン接種証明書とは?その概要
海外旅行に行くのに必要になるワクチン接種証明書について、それぞれの感染症ごとにご紹介します。
破傷風
破傷風菌は、全世界の土壌に広く分布しており、日本国内でも年間を通じて破傷風の患者が報告されています。破傷風は外傷から菌が体内に侵入することで感染する疾患で、特にアウトドアや冒険旅行での怪我のリスクが高い人には予防接種が推奨されます。
破傷風ワクチンは、1968年から日本で使用されている3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日せき)に含まれています。このため、日本では多くの人が12歳の時に破傷風とジフテリアのワクチンを受けており、20代前半までは一定の免疫が持続することが一般的です。そのため、この年齢層では追加の接種は通常不要です。しかし、その後は追加のワクチン接種が推奨され、1回の接種で約10年間の免疫が得られます。
狂犬病
狂犬病は、発症するとほぼ確実に致死率が100%に達する非常に危険な病気で、狂犬病にかかった動物がいる地域に行く際には必ず予防接種を受けておきましょう。この病気は主にアジアやアフリカを中心に世界中で発生しています。狂犬病は、イヌだけでなくキツネ、アライグマ、コウモリなどの野生動物による咬傷や引っかき傷によって感染するリスクが高いです。
一般的には予防目的の場合、3回の接種が必要です。具体的な接種スケジュールや方法については、医師に相談することが重要です。
A型肝炎
A型肝炎は、加熱していない食品や水などを通じて感染する病気で、特にアジア、アフリカ、中南米などの地域で一般的に見られます。感染すると強い疲労感が生じ、重篤な場合には1ヶ月以上の長期入院が必要になることもあります。特に、途上国への長期滞在が予定されている方にはワクチンの接種が推奨されます。
通常2回接種が必要で、初回接種後2~4週間後に2回目の接種を行います。6ヶ月以上の長期滞在を予定している場合は、6ヶ月目にさらに1回の追加接種を行うことで、5年以上の持続効果が期待できます。
B型肝炎
成人におけるB型肝炎の感染は、免疫が正常な場合、一過性の感染が多く見られます。これには急性肝炎の症状を示すケースと無症状の感染があります。一過性の感染の場合、約2%の人が重症化し死亡するリスクがありますが、多くは約3ヶ月で肝機能が正常に戻ります。
B型肝炎の予防にはワクチン接種が有効です。ワクチンは最初の接種後4週間後に2回目を接種し、その後20~24週間後に3回目を接種します。このワクチンスケジュールに従うことで、B型肝炎からの保護を得ることができます。
ポリオ
ポリオはポリオウイルスによって引き起こされる病気で、主に急性の麻痺を引き起こします。現在、野生株ポリオウイルスが発生し、国際的な感染拡大のリスクがある国々にはアフガニスタン、マラウイ、モザンビーク、パキスタンが含まれます。また、ワクチン由来ポリオウイルスが発生している国々も多く、イスラエル、アルジェリア、ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ジブチ、ギニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、ギニアビサウ、リベリア、マダガスカル、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ガーナ、モーリタニア、トーゴ、ウガンダ、エジプト、ソマリア、イエメン、ウクライナなどがこれに該当します。
世界保健機関(WHO)は、これらの国に渡航する際には、以前にポリオワクチンを接種していたとしても、追加接種を行うことを推奨しています。
黄熱
黄熱は蚊を介して感染するウイルス性疾患であり、一般的には5~10%の致死率を持っています。しかし、流行期間中や免疫がない旅行者の中では、致死率が60%を超えることも報告されています。アフリカと南米の熱帯地域への渡航者にとっては、黄熱ワクチンの接種が必須です。
黄熱ワクチンの接種証明書は、接種から10日後から一生涯有効となります。
日本脳炎
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを持つ蚊による刺傷が原因で発生する深刻な急性脳炎です。この病気は高い死亡率を有し、生存者の中には後遺症を抱えるケースも少なくありません。特に東アジア、南アジア、東南アジアなどの流行地域への渡航者に対して、日本脳炎のワクチン接種が推奨されます。
日本脳炎ワクチンの接種スケジュールは、初回接種後1~4週間の間隔を空けて2回目を接種し、その後約1年後に追加接種を行うことで基礎免疫が完了します。基礎免疫を完了した後は、1回の接種で約4~5年間の免疫が維持されるとされています。
ジフテリア
ジフテリアは、感染者の咳やくしゃみによって人から人へと感染する病気です。定期的な予防接種により、12歳の時に2種混合ワクチン(DT)を接種していれば、20代前半まで免疫が持続するため、その時期までは追加の接種は通常不要です。その後、1回の追加接種で約10年間の免疫が得られます。ジフテリアは深刻な病気であるため、適切な予防接種を行うことが重要です。
風しん
風しんは、非常に感染力が強い急性のウイルス性発疹性感染症です。主な症状には発熱、皮膚の発疹、リンパ節の腫れなどがありますが、感染しても約15~30%の人は症状が現れないことがあります。通常、風疹は自然に治癒することが多いですが、稀に脳炎を発症し、入院治療が必要になる場合もあります。日本では、現在定期的な予防接種プログラムにより、2回のワクチン接種が行われています。また、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性は、2025年3月31日まで定期接種(1回)の対象とされています。
麻しん
麻しんは、感染力が極めて高い急性のウイルス性発疹性感染症で、人から人へと簡単に感染します。この病気の主な症状には発熱、咳、鼻水、結膜炎、皮膚の発疹などがありますが、まれに肺炎や脳炎を引き起こすことがあり、先進国でも患者の約1,000人に1人が死亡すると報告されています
日本を含む多くの国では、子供時代に2回の麻疹予防接種が定期接種プログラムに含まれています。
髄膜炎菌感染症
髄膜炎菌にはいくつかのグループが存在し、特にA群はアフリカのサハラ砂漠南部から伸びる「髄膜炎ベルト」と呼ばれる地域で流行の中心となっています。この地域は大西洋からインド洋にかけての広範囲に及びますが、西アジアでもメッカへの巡礼などを通じて時折流行が起こることがあります。アメリカ合衆国のように、髄膜炎ワクチンを10代の子供たちの定期接種としている国もあります。これらの国へ留学する場合、入学前に接種証明の提示を求められることがあります。
海外旅行に新型コロナワクチン接種証明書は必要?
新型コロナワクチン接種証明書の概要をご紹介します。
新型コロナワクチン接種証明書の対象
新型コロナワクチン接種証明書が配布されるのは、新型コロナワクチンの予防接種を受けた人が対象です。
他にも、以下の3種類の対象者がいます。
- 治験に参加した人
- 外務省による海外在留邦人の一時帰国者を対象とした事業で接種を受けた人
- 在日米軍によるワクチン接種を受けた人
新型コロナワクチン接種証明書の申請方法・必要なもの
コンビニ以外の場所で書面交付を希望する場合には、以下の書類が必要になります。
日本国内用
- 接種券番号がわかるもの
- 申請書
- 本人確認書類
日本国内・海外用
- 接種券番号がわかるもの
- 申請書
- 本人確認書類
コンビニ交付の場合、以下の書類が必要になります。
日本国内・海外用
- マイナンバーカード、暗証番号4桁
- 発行料金120円
- 2022年7月21日以降に新型コロナワクチン接種証明書アプリ、市町村窓口等で海外用の接種証明書を取得しており、その時と旅券番号が同じであること
海外旅行にワクチン接種証明書は必要なときもある
以上、海外旅行とワクチン接種証明書の関係についてご説明しました。
海外旅行に行く際には、渡航先それぞれの国・地域で推奨されているワクチンを接種し、接種証明書を持っていくのが無難です。海外旅行の計画段階から頭に入れておきましょう。