公開日:2024.02.29更新日:2024.02.29
海外に薬を持ち込みできる?おすすめの薬などもご紹介
初めての地での旅行は刺激的ですが、時には予期せぬ体調不良に見舞われることがあります。特に、普段から特定の薬を服用している方にとっては、その薬が旅行中に手に入るかどうかが非常に重要な問題です。「海外旅行に薬を持って行っても大丈夫か」という疑問は多くの旅行者が持つものです。
多くの国では、個人使用のための医薬品の持ち込みは許可されていますが、それでも持ち込みが可能な薬の種類や量には制限があります。
本記事では、海外旅行に薬を持ち込む際の手続きや注意点を、本記事ではさらに詳しく解説していきます。海外での健康管理をしっかりと行い、安心して旅行を楽しみたい方は、ぜひご一読ください。
海外に薬を持ち込みできる?
海外旅行に際して薬を持ち込むことは、多くの旅行者にとって共通の関心事です。薬の持ち込み規制は国によって大きく異なり、法律も頻繁に変更されることがあるため、渡航先の国の最新の規制情報を入手する最も確実な方法は、その国の在日外国公館に直接問い合わせることです。
市販の薬
一般に市販されている風邪薬や頭痛薬、下痢止めといった常備薬は、個人使用に限り持ち込むことに問題はないことが多いですが、旅行期間を考慮した適切な量を持参することが大切です。不必要に大量に持ち込むと、商業目的であると疑われる原因となり得ます。
オリジナルパッケージのない薬、つまり製薬会社のラベルが付いていない薬は、その内容が不明とされ、問題となる可能性があります。薬はできる限りオリジナルの容器に入れた状態で持ち込むべきで、処方箋や医師の診断書があるとより良いでしょう。これらの書類は、薬の必要性を説明する際に役立ちます。
また、持ち込み可能な薬の種類に制限がある場合もあります。特に麻薬類や向精神薬に関しては、多くの国で厳しい規制がありますので、これらの薬を持ち込む必要がある場合には、特に注意が必要です。
処方箋
持病がある場合や定期的に処方薬を服用している場合、海外旅行に薬を持っていく際には「薬剤証明書」の準備を推奨します。この証明書は、あなたがどのような病気や症状に対してどの薬を服用しているかを明確に説明するものです。海外旅行の予定を医師に伝え、薬剤証明書を発行してもらうことが望ましいです。
訪れる国によっては、英文の医師の診断書や薬の処方箋など、特定の文書の提出を求められることがあります。このため、渡航前には目的地の国の医薬品に関する規制を調査し、必要な文書を揃えておくことが重要です。
さらに、日常的に服用が必要な薬の場合、予期せぬ事態に備えて余分に準備しておくことも大切です。長期の旅行であれば、予定している滞在期間よりも多めに薬を携帯することで、薬が不足するリスクを避けることができます。
海外に持って行くのにおすすめの薬
以下では、海外に持っていくのにおすすめの薬をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
風邪薬
旅行中に風邪の症状が出た際に、すぐに対処できるようにするため、風邪薬を持っていくのはおすすめです。特に新しい環境への適応、気候の変化、長時間のフライト、時差ぼけなどが免疫力に影響を与え、風邪を引きやすくする可能性があります。また、現地で病院を探したり、言語の問題で適切な薬を見つけるのが難しい場合があるため、事前に準備しておくと安心です。ただし、持参する際には、薬の成分が渡航先の国で許可されているかを確認し、必要に応じて医師の処方箋や説明書を同梱することが重要です。
解熱鎮痛薬
旅行中に予期せぬ頭痛、筋肉痛、歯痛、生理痛、または軽度の発熱などを経験したときに迅速に対処できるようにするため、解熱鎮痛薬を持っていくのもおすすめです。旅行先で体調を崩した際に、すぐに適切な薬を手に入れることが困難な場合があり、痛みや発熱を放置すると旅行の楽しさが損なわれることもあるためです。ただし、解熱鎮痛薬を持参する際には、含まれる成分が目的地の国で合法であるか確認し、服用の際は用法用量を守ることが大切です。また、長時間のフライトや激しい活動後の炎症や痛みの緩和にも役立ちます。
胃腸薬
食生活の変化や水質の違い、衛生環境の不一致などにより、旅行者が消化不良、胃痛、下痢、便秘といった胃腸のトラブルに遭遇する可能性があるため、胃腸薬を持っていくのもおすすめです。特に異なる食文化を持つ地域では、普段とは違った食材や調理法に身体が反応することがあります。胃腸薬を携帯しておけば、こうした不快な症状を素早く緩和し、旅行の快適さを維持することができます。ただし、持参する際には、薬の成分が渡航先で規制されていないかを事前に確認し、また使用上の注意を守って使用することが重要です。
アレルギー薬
新しい環境では、花粉、ペットの毛、特定の食品、または環境中の他の刺激物によってアレルギー反応が引き起こされるリスクがあります。これにより、鼻水、くしゃみ、目のかゆみ、皮膚の発疹などの症状が出ることがあります。アレルギー薬を持参していれば、これらの症状を迅速に緩和し、旅行を快適に続けられます。しかし、持参する際は、その薬が渡航先の国で許可されているかを確認し、可能であれば医師の処方箋や診断書を携帯することが望ましいです。また、薬による副作用、特に眠気などに注意して、使用する際は安全を確保することが重要です。
酔い止め薬
長時間のフライト、船旅、バスや車での移動など、さまざまな交通手段による移動中に乗り物酔いが起きる可能性があるため、酔い止め薬を持っていくのもおすすめです。特に海外旅行では、不慣れな交通手段や曲がりくねった道、急な動きなどにより、普段乗り物酔いを経験しない人でも酔いやすくなることがあります。酔い止め薬は、これらの症状を予防し、また発生した場合に緩和するのに役立ちます。また、渡航先の国での薬の規制を事前に確認し、必要ならば医師の処方箋を携帯することが望ましいです。
虫除け(殺虫剤・防虫剤)
特に熱帯または亜熱帯地域など、蚊や他の昆虫が頻繁に見られる地域では、これらの昆虫がマラリア、デング熱、ジカ熱などの病気を媒介するリスクがあるため、虫除けを持っていくのがおすすめです。虫除けを使用することで、これらの昆虫による刺されから身を守り、感染症のリスクを減らすことができます。
虫除けにはスプレー型、クリーム型、リストバンド型などさまざまな形態があり、成分や効果にも差があります。
ただし、航空輸送時には液体やスプレーの持ち込みに制限があることに注意が必要です。
睡眠改善薬
時差ぼけの影響による睡眠障害を緩和するため、睡眠改善薬を持っていくのは有効です。特に長距離の国際線を利用する場合、時差により身体のリズムが乱れ、普段通りに眠ることが難しくなることがあります。睡眠改善薬を使用することで、質の良い睡眠を確保し、日中の活動に必要なエネルギーと集中力を維持するのに役立ちます。
ただし、睡眠改善薬の中には依存性や副作用を持つものもあるため、使用には注意が必要です。
塗り薬
旅行中に発生する可能性のある様々な皮膚トラブルに迅速に対処するため、塗り薬を持っていくのもおすすめです。旅行先での切り傷、擦り傷、虫刺され、日焼け、かぶれや湿疹など、皮膚に関連する多くの問題が想定されます。塗り薬はこれらの皮膚の問題に対して即座に効果を発揮し、感染のリスクを減らし、症状を緩和します。
そもそも、予防接種をしておくのもおすすめ
薬を持っていくのも重要ですが、そもそも、その前の段階で予防接種をしておけば旅先で流行している病気などにかかりにくくなります。以下では、海外に行く際に予防接種をしておきたい感染症・病気についてご紹介します。
新型コロナウイルス
新型コロナウイルスは、一部の地域ではまだ流行しており、ワクチン接種証明書がないと渡航できないことがあります。
破傷風
破傷風菌は世界的に土壌中に広く分布しており、日本国内でも年間を通じて破傷風の患者が報告されています。この菌は傷口を通じて体内に侵入するため、アウトドア活動や冒険旅行などで怪我をするリスクが高い人には、破傷風ワクチンの接種が特に推奨されます。途上国を訪れる際には、医療設備の不足や衛生状態の問題により怪我のリスクが増すため、破傷風ワクチンの接種はさらに重要です。
A型肝炎
A型肝炎は、十分に加熱されていない食品や清潔でない飲料水を介して感染する疾患で、特にアジア、アフリカ、中南米などの地域で一般的です。この病気に対する予防として、A型肝炎ワクチンが推奨されており、初回接種後2~4週間を空けて2回目の接種を行います。
B型肝炎
B型肝炎は、主に思春期以降における性的接触を通じて(唾液や体液を介した密接な接触を含む)感染する病気です。この病気の予防に効果的なワクチンは、最初の接種から4週間後に2回目を接種し、その後20~24週間後に3回目の接種を行うことで、効果的な免疫が得られます。
狂犬病
狂犬病は発症すると致死率がほぼ100%に達する非常に危険な病気です。この病気に対するワクチンは2つのタイプがあり、それぞれ接種スケジュールが異なりますが、通常、感染に暴露される前には3回のワクチン接種が必要です。接種スケジュールやワクチンの種類については、医師と詳細に相談し、個々の状況に合わせた適切な接種計画を立てることが重要です。
日本脳炎
日本脳炎は、高い死亡率を伴い、また生存者にしばしば重い後遺症を残す感染症です。この病気の予防のためには、初回の接種後1~4週間の間隔を空けて2回目のワクチン接種を行い、その後約1年後に追加接種を1回受けることが推奨されています。特にアジア地域では日本脳炎が流行しているため、この地域への旅行や滞在を計画している場合には、ワクチン接種を検討することが重要です。
風しん
風しんは強い感染力を持つ病気で、主な症状には発熱、皮膚の発疹、リンパ節の腫れなどがありますが、感染者の約15~30%は無症状のままであることがあります。多くの場合、風しんは自然に回復しますが、稀に脳炎を引き起こすことがあります。
風しんに対する予防接種を受けていない方には、ワクチン接種を受けることを強くおすすめします。
麻しん
麻しんは、発熱、咳、鼻水、皮膚の発疹、目の充血といった特徴的な症状を引き起こす病気です。通常、子供の頃に2回のワクチン接種が行われることが多いです。これまでに麻しんのワクチンを受けていない場合は、接種を受けることを推奨します。
ポリオ
ポリオはポリオウイルスが原因で発生する急性の麻痺を引き起こす感染症で、特にアフリカのいくつかの国々で流行しています。世界保健機関(WHO)は、ポリオが発生している国への渡航を計画している場合、過去にポリオワクチンを接種していたとしても、出発前に追加のワクチン接種を行うことを推奨しています。
黄熱
黄熱は、蚊を介して伝播されるウイルス性の感染症であり、主にアフリカと南米の熱帯地域で見られます。この地域への渡航を考えている場合、黄熱の予防接種が必須となることが多いです。また、一部の国では入国時や乗り継ぎ時に黄熱の予防接種証明書の提示を求められることがあります。
ジフテリア
ジフテリアは、ヒトからヒトに感染する病気です。咳によってうつる可能性があります。ワクチンを子供の頃に受けていれば免疫がありますが、そうでなければ予防接種を受けましょう。
髄膜炎菌感染症
髄膜炎菌は、感染者が呼吸する際に放出される飛沫やのどの分泌物を通じて感染します。この病気は、感染者とのキスや食器の共有、密閉された環境での長時間の接触(例えば寮での生活)など、密接な接触によって広がることがあります。特にアフリカやアジアでは髄膜炎が流行しており、これらの地域への渡航を予定している場合には、予防接種を受けることが強く推奨されます。
海外旅行に薬は持ち込みできる
以上、海外旅行に薬を持ち込めるかどうかなどについてご紹介しました。
薬を持ち込むのも重要ですが、それ以前の予防接種もまた重要です。渡航先で流行している感染症については事前に調べ、予防接種をしておきましょう。