スイス渡航前の推奨ワクチン

スイスはヨーロッパのほぼ中央に位置し、社会保障制度が充実している国です。国民の健康意識を高めるため、ユニバーサルヘルスケアを導入するスイスですが、日本から渡航する際に接種が推奨されているワクチンは、狂犬病、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、髄膜炎、おたふくなどです。

狂犬病
感染経路 狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれる・引っ掻かれることで傷口から感染します。感染すると、ほぼ確実に死亡する恐ろしい病気です。
症状 狂犬病の主な症状は、発熱・頭痛・倦怠感・疲労感・筋肉痛で、多くの感染者が初期では風邪と勘違いしてしまいます。しかし、症状が悪化するにつれて興奮や幻覚、錯乱などの脳炎症状に陥り、最終的には呼吸が停止し死亡します。
ワクチンについて 狂犬病には、異なる2種類のワクチンがあり、基本的には3回の接種が必要です。身近な犬や猫だけでなく、キツネやコウモリからの感染の可能性もあるため、海外ではなるべく動物に触れないようしましょう。
破傷風
感染経路 土や動物の排泄物に含まれる菌によって引き起こされる破傷風は、傷を介して体内に侵入した菌が原因で起こります。
症状 この病気は他人への感染はありませんが、感染すると重篤な状態に陥り、場合によっては命を落とす危険性もあります。典型的な症状には、筋肉の痙攣や頭痛、そして口が固く閉じてしまうことがあります。症状が進行すると、身体が弓なりに反り曲がって呼吸困難に陥り、死に至ることが多いです。
ワクチンについて ワクチンは、追加接種の1回で約10年間の免疫効果が期待できます。
A型肝炎
感染経路 A型肝炎は、糞便からの感染経路を通じて広がるウイルス性の病気です。
症状 この病気に感染すると、患者は発熱や疲労感、食欲減退、吐き気、そして嘔吐などの症状に見舞われることがあります。症状が進行すると、数日後に肌や目の白い部分が黄色く変色する黄疸が発生することがあります。予防策としては、ワクチンの接種が推奨されています。
ワクチンについて このワクチンは最初の接種から2~4週間後に2度目を接種し、約6カ月後に3回目を接種することで、最大で5年間の免疫効果が得られるとされています。
B型肝炎
感染経路 B型肝炎は、輸血や注射針の使い回しなどにより、血液から感染する病気です。また、性交渉による感染や分娩時の軽粘膜感染もあります。
症状 症状は、A型肝炎と同じく、倦怠感や疲労感、食欲の低下などが挙げられます。
ワクチンについて ワクチン接種で抗体ができるのは、2度目を接種してから2週間後とされます。さらに、3度目の接種をすれば約5年間の抗体が得られるとされています。
腸チフス
感染経路 チフス菌と呼ばれているサルモネラ菌の一種による感染症です。少量の菌でも感染することが多く、感染者の排泄物に汚染された水や食べ物を摂取することで感染します。そのため、発展途上国など衛生面に問題がある国のほうが流行りやすいといわれている感染症です。ただし、先進国への渡航でも長期滞在であればリスクがないとは言い切れません。潜伏期間は最大1カ月程度あるので、感染に気付かないまま帰国してしまう人も少なくありません。
症状 39℃を超える高熱が1週間程度続きます。胸部や腹部に淡いピンク色のバラ疹が見られることがあります。便秘・下痢症状や徐脈が見られることもあります。
ワクチンについて 輸入ワクチンのみで、接種後2週間で抗体を獲得できるようになります。
髄膜炎
感染経路 細菌やウイルスが頭蓋骨と脳の間にある髄膜に侵入することで発症する病気です。頭痛や発熱、嘔吐が代表的な症状ですが、首の硬直や光過敏症が見られることもあります。致死率の高い髄膜炎菌性髄膜炎の原因である髄膜炎菌は、健康な人の鼻やのどの奥にも存在していることがありますが、咳やくしゃみなどで伝播していきます。
症状 発熱や頭痛、嘔吐が一般的な症状です。首の部分が硬直し、曲げにくくなることがあります。意識障害や痙攣を起こすこともあり、できるだけ早く対処する必要があります。
ワクチンについて 髄膜炎菌の感染を予防します。1回接種で、体内で抗体ができるまでに4週間程度かかり、その後5年程度は効果が維持できます。
おたふく
感染経路 ムンプスウイルスによる感染症です。合併症や後遺症などのリスクもあるため、適切な治療を受ける必要があります。一度感染すると終生免疫を獲得できるといわれていますが、まれに再発することもあります。発症した場合、特効薬はないため、自然治癒に向けて対症療法を行うことになります。
症状 耳下腺や唾液線が腫れ、痛みを伴うケースもあります。発熱や嚥下痛もあり、1週間から2週間程度で症状は落ち着いてきます。大人が感染すると、睾丸炎や卵巣炎などの合併症のリスクがあります。
ワクチンについて 任意接種です。2回接種することで、99%の方が抗体を獲得できるとされています。

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各種ワクチン金額相場

エジプト渡航前に接種が推奨されるワクチンの相場をまとめたので、ワクチン接種を検討している方は参考にしてください。

ワクチン名 相場価格/回
狂犬病ワクチン 1万5,000〜2万円/回
破傷風ワクチン 3,000〜5,000円/回
A型肝炎ワクチン 1万円前後/回
B型肝炎ワクチン 5,000~8,000円/回
腸チフスワクチン 1万円前後/回
髄膜炎ワクチン 2万5,000円前後/回

当クリニックでは、今回ご紹介した感染症のワクチンの他にも、MR(麻疹・風疹の混合)ワクチン、水痘・帯状疱疹ワクチン、新型コロナウイルス感染症ワクチン(mRNAワクチン)、インフルエンザワクチンなどを取り扱っております。その他のワクチンも取り扱っているため、お気軽にお問い合わせください。

エジプト渡航前ワクチン(予防接種)を
接種する時期と必要回数

ここではワクチンの接種時期や、必要回数を解説します。エジプトに渡航する予定がある方は、以下の表を参考にしてワクチン接種の準備を進めましょう。

病名 ワクチンの種類 0日 1週間 2週間 3週間 4週間 5週間 3ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 12ヶ月
狂犬病 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
破傷風 不活化ワクチン 1回目 2回目
3回目(2回終了後1年〜1年半)

A型肝炎 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
B型肝炎 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
日本脳炎(国産) 不活化ワクチン 1回目 2回目
3回目(2回終了後1年)

日本脳炎(輸入) 不活化ワクチン 1回目
腸チフス 不活化ワクチン 1回目
髄膜炎 不活化ワクチン 1回目

病名 ワクチンの種類
狂犬病 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間 2回目
2週間 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
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病名 ワクチンの種類
破傷風 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間 2回目
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
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病名 ワクチンの種類
A型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 2回目 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 3回目 12ヶ月
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病名 ワクチンの種類
B型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月 3回目
6ヶ月 12ヶ月
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病名 ワクチンの種類
日本脳炎(国産) 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間 2回目
2週間 2回目 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月 3回目(2回終了後1年)
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病名 ワクチンの種類
日本脳炎(輸入) 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
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病名 ワクチンの種類
腸チフス 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
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病名 ワクチンの種類
髄膜炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
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狂犬病ワクチンの2回目の接種は、1回目から1週間の間隔をあけ、3回目は1回目の接種から3週間あけることが必要です。その他ワクチンに関しても、数週間・数ヶ月の間隔をあけて接種しなければなりません。そのため、ワクチンを渡航前に接種するのであれば、余裕を持ったワクチン接種計画を立てることが大切です。

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スイスで気を付けたい病気

ダニ媒介脳炎
スイスのみならずヨーロッパの非熱帯森林地域で見られる感染症です。温かい時期に多く、ウイルスを保有したダニに咬まれることで感染します。森林地帯には入らないようにし、外出時は肌の露出を控えるようにしてください。ダニ媒介脳炎のワクチンもあるため、事前に接種するのをおすすめします。
花粉症
スイスは5人に1人が花粉症を患っているといわれています。1900年ごろにはほとんど花粉症患者がいなかったものの、100年間で劇的に増え、現在は国民の25~35%が花粉症患者です。気候変動や環境汚染が影響しているといわれています。スイスではハンノキやハシバミ、白樺、ブナ、トネリコなどの飛散レベルが高いのも特徴です。
毒蛇
スイスには毒蛇であるアスプクサリヘビが生息しています。毒蛇に咬まれると激痛はもちろん患部が腫れ上がり、出血毒や神経毒によって命の危機にさらされる可能性も少なくありません。咬まれたときは、まず傷よりも心臓に近いところを布などで軽く縛りましょう。すぐに医療機関を受診し、手当てを受けてください。
熱中症
スイスは国土内に最大4000m超の高低差があるため、地域によって気温が大きく異なることが特徴です。例えば、ブローノでは過去に41.5℃が記録されたこともありました。チューリッヒも、夏は30℃を超える日があります。外出するときは、事前に天気予報を確認しておきましょう。また、アルプス山岳地帯では天気が急変しやすいため注意が必要です。
旅行者下痢
スイスで旅行者下痢になるのは、旅行中もしくは帰国後に発症するものがほとんどです。スイスの水道水は、豊富な水資源と厳密な管理により非常においしく、そのまま飲んでも問題ないとされています。しかし、日本の水と違い硬水なので、胃腸の調子が悪くなり、旅行者下痢を起こす可能性もあります。しばらくすれば改善するのがほとんどですが、下痢や嘔吐以外に血便が見られるときは早めに受診しましょう。

スイスの基本情報

ヨーロッパのほぼ中心に位置し、ドイツ・イタリア・フランス・オーストリアなどに囲まれたスイスは、九州と同じくらいの大きさの国です。4つの公用語が使用され、豊かな自然と文化、世界遺産があります。
以下の表ではスイスの基本情報をまとめました。

国名 スイス連邦 通貨 スイス・フラン(CHF)
言語 ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語 チップの習慣 基本的にチップを渡す習慣はありません。
宗教 カトリック、プロテスタント、イスラム教 文化 4つの公用語が使用され、文化の多様性が高い国です。美術館や博物館が非常に人気です。
気候 平均して7・8月は18〜28度で、日差しは強いですが湿気がなくカラッとしています。1・2月は-2〜7度くらいで、ほとんどの場所で雪が降ります。春・秋は日本と同じく8〜15度で非常に過ごしやすいです。 時差情報 -8時間(日本の方が8時間進んでいます)
服装 昼夜の温度差が激しいため、どの時期・場所でも気温の変動に対応できる準備をしておきましょう。長袖のカーディガンやウインドブレーカーなどがあると便利です。 治安情報 治安情報

スイスの渡航情報

日本とスイスの間には査証免除取極が締結されているため、観光目的の滞在であればビザを取得する必要はありません。

ビザ情報 観光などを目的とする90日間以内の滞在であればビザの取得は不要です。
パスポートの必要有効残存期間 スイス出国予定日から3カ月以上の残存有効期限が必要です。
入国カードの記入について 不要です。

入国に必要な手続き

スイスへの入国には、航空券とパスポートの持参が欠かせません。以下では、スイス入国時に必要なもの・手続きを説明します。

必要なもの(航空券、パスポートなど)

スイス入国時には、パスポートと航空券の提示が求められるのが一般的です。パスポートは、スイス出国予定日から3カ月以上の残存期間がなくてはならず、3カ月を切っている場合には事前に更新する必要があります。また航空券は、予約が証明できるメールやスクリーンショットを準備しておきましょう。


必要な手続き(入国審査、荷物の受け取り、税関検査)

スイス入国時には、入国審査、預けていた荷物の受け取り、税関検査などを受ける必要があります。スイス空港に着いたら、まず「Immigration」のサインを目指して入国審査のカウンターに進みます。入国審査では、パスポート・航空券の提示と、滞在期間などの質問に答える必要があります。便名が表示されているターンテーブルで、荷物をピックアップすれば入国の手続きは完了です。免税の範囲を超える所持品がある方は、免税のカウンターで事前に申告しましょう。

ビザ
31日以上の滞在の場合は事前にビザを取得する必要があります。観光ビザは30日以内の滞在であれば、現地の空港で取得可能です。


出国に必要な手続き

続いては、スイスから日本に帰る際に必要なもの・手続きを紹介します。

必要なもの(航空券、パスポートなど)

スイスからの出国の際に必要なのは、パスポートと航空券のみです。


必要な手続き(チェックイン、出国審査、税関検査)

スイスから出国する際には、空港のチェックインカウンターで、パスポート・航空券を提示し、チェックインを行います。荷物を預ける際は、ここで手続きをします。時期によっては空港が混み合う可能性があるため、余裕を持ってなるべく早めに空港に到着しておくのがおすすめです。

Visit Japan Web(入国手続オンラインサービス)
スムーズに日本に入国したい方には、Visit Japan Webへの事前登録がおすすめです。Visit Japan Webに登録しておくと、日本到着後に税関申告書の記入が不要となります。非常に便利なツールであるため、新型コロナウイルスの水際対策撤廃後もVisit Japan Webを利用する旅行者は少なくありません。また、一度Visit Japan Webを登録すると、個人情報を再入力する必要がなく、他国へ渡航する場合も使用可能です。登録し、求められた情報を入力すればQRコードが表示されます。このQRコードをすぐに提示できるように準備しておきましょう。


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記事担当:ワクチンナビ編集部

「ワクチンNavi」 は渡航前に確認しておきたい感染症の情報や、旅行・渡航に役立つ豆知識など様々な情報を発信しております。

Q&A

よくある質問

スイスに入国するにはワクチン接種が必要ですか?
スイスへの入国では、現在新型コロナウイルス関係の措置は全て解除されています。陰性証明書やワクチン接種証明書の提示は必要ありません。
スイスのコロナ規制は?
2022年の5月3日以降、スイスは新型コロナウイルス感染症に関する入国規制を解除しています。
海外で受けたワクチンは日本で受けられますか?
日本で承認されているワクチンであれば、海外で接種した後の追加接種としても受けられます。
コロナワクチンは外国人にも対応していますか?
日本に在留資格を持つ外国人は、新型コロナワクチンの接種対象となります。
ノーワクチンで日本に入国するにはどうしたらいいですか?
2023年4月29日以降から、ワクチン接種証明書・陰性証明書の提示を含む新型コロナウイルスの水際対策が終了しています。そのため、特にすべきことはありません。

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渡航先や目的によって予防接種の種類はさまざま。
複数回摂取が必要なワクチンも。
以下よりワクチンのご予約が可能です。

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