ケニア渡航前の推奨ワクチン

ケニア渡航前に接種が推奨されているワクチンは、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、髄膜炎、黄熱、狂犬病、インフルエンザ、デング熱、腸チフス、帯状疱疹などです。

A型肝炎
感染経路 A型肝炎の感染経路は、糞便のウイルスが人の手を介して食品などに付着し、それを経口接種することです。
症状 症状は発熱、倦怠感、食欲低下、吐き気、嘔吐で、黄疸が出ることもあります。2〜7週間の潜伏期間があります。
ワクチンについて ワクチンは3回接種により予防でき、接種後5年間は有効とされています。ワクチン接種のスケジュールは、1回目から2~4週間後と6カ月後が目安です。
B型肝炎
感染経路 B型肝炎の感染経路は医療器具の使い回しや性行為などです。
症状 B型肝炎の症状として、倦怠感、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸が現れます。さらに慢性化による肝硬変や肝臓癌へ移行するおそれがあります。潜伏期間は1〜6カ月ほど。
ワクチンについて ワクチンの3回接種により予防が可能で、ワクチン接種のスケジュールは、1回目から4週間後と5~6カ月後です。
破傷風
感染経路 破傷風の感染経路は、土の中の破傷風菌が傷口から侵入することです。
症状 症状は痛みや首の張り、しびれなどで、死に至る危険性もあります。
ワクチンについて ワクチンによる予防が可能で、過去の接種歴によって必要な接種回数が異なります。接種歴があれば1回の接種で済みます。接種歴がなければ1回目から3~8週間後に2回目、2回目接種後1年~1年半の間に3回目の接種が推奨されています。
髄膜炎
感染経路 髄膜炎の感染経路は飛沫であり、患者からの咳やくしゃみにより菌が体内に入り、血液に乗って髄膜へ達することで炎症を起こします。
症状 症状は発熱、頭痛、首の硬直です。潜伏期間は1~14日あります。髄膜炎は適切な治療をしなければ確実に死に至る恐ろしい感染症です。
ワクチンについて ワクチンによる予防が可能なので接種が推奨されます。髄膜炎のワクチンは1回接種です。
黄熱
感染経路 黄熱の感染経路は、ウイルスを保有した蚊に刺されることです。人およびサルに感染し、ネッタイシマカという蚊がウイルスを媒介します。
症状 黄熱の症状は、発熱、寒気、頭痛、筋肉痛、吐き気などです。潜伏期間は3~6日と短めです。
ワクチンについて ワクチンの1回接種で予防できます。ただし、妊婦の方や卵・ラテックスアレルギーを持つ方は接種できません。
狂犬病
感染経路 狂犬病の感染経路は、ウイルスを持つ犬やコウモリ、猫、アライグマなどの動物に噛まれたり、引っ掻かれたりすることです。
症状 症状は段階的に進行し、まず風邪症状や筋肉痛を経て、呼吸困難を伴う興奮状態となります。その後不安感が現れ、脳神経および全身の筋肉の麻痺により死に至ります。
ワクチンについて ワクチン接種が推奨され、接種スケジュールは1回目から1週間後と3〜4週間後の3回です。
インフルエンザ
感染経路 インフルエンザウイルスを病原とした気道感染症です。一般的な風邪よりも症状が重症化しやすく、日本では冬から春にかけて流行するのが特徴です。ケニアでは一年を通してインフルエンザ患者が発生しています。インフルエンザだけでなく、特にナイロビ市内は排気ガスによる大気汚染で、また朝夕の気温差からも風邪を引きやすく、呼吸器疾患を引き起こしやすい環境ですので注意しましょう。
症状 1~2日ほどの潜伏期間の後に、発熱や頭痛、全身の倦怠感、関節痛などの症状が起こり、1週間ほど経つと軽快します。
ワクチンについて 不活化ワクチンと、生ワクチン(フルミスト)があります。毎年、流行株に合わせたワクチンを接種する必要があります。
デング熱
感染経路 ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊が媒介するウイルス疾患です。とにかく蚊に刺されないことが重要です。テング熱のワクチンは、日本国内では現状接種することができません。海外で接種できるものもあり、最大80%の有効性が認められています。
症状 通常は1週間程度で後遺症なく回復します。重症化すると出血熱やショックを起こすことも、まれに死亡することがあります。
ワクチンについて 日本国内ではまだ接種できないものの、「Denguvaxia」と「QDENGA」というワクチンが使用されています。
腸チフス
感染経路 チフス菌というサルモネラ菌の一種による感染症です。少量の菌でも発症する可能性が高く、感染者の排泄物に汚染された食べ物や水を介して感染します。ケニアのような発展途上国では多く見られており、感染して回復した後に体内にチフス菌を保有し続けてしまうこともあります。
症状 39℃を超える熱が1週間程度続きます。便秘や下痢などの症状に悩まされることもあります。胸腹部の淡紅色の発疹や徐脈が現れることもあるのが特徴です。
ワクチンについて 輸入ワクチンのみで、不活化ワクチンと生ワクチンがあります。効果が出るまでに2週間程度かかります。
帯状疱疹
感染経路 帯状疱疹は、過去に水ぼうそうにかかり治癒した後、しばらくしてからウイルスが再活性化して発症する疾患です。ストレスや免疫力低下をきっかけに再活性化してしまうことが多く、高齢者でも多く見られます。適切に治療を行えば2週間から1カ月程度で治癒しますが、中には痛みが長期化してしまう人もいます。
症状 体の左右どちらかに、神経に沿うようにして帯状に水ぶくれを伴う発疹が現れます。痛みがあり、発疹が治った後も神経痛が残ることもあります。
ワクチンについて 生ワクチンと不活化ワクチンがあります。過去に水ぼうそうにかかったことのある方でも、ワクチン接種をすることで帯状疱疹リスクを抑えることができます。

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各種ワクチン金額相場

上記で紹介した各種ワクチンの金額相場は、次のとおりです。

ワクチン名 相場価格/回
A型肝炎ワクチン 1万円前後/回
B型肝炎ワクチン 5,000~8,000円/回
破傷風ワクチン 3,000〜5,000円/回
黄熱ワクチン 1万2,000円/回
髄膜炎ワクチン 2万5,000円/回
狂犬病ワクチン 1万5,000〜2万円/回
インフルエンザワクチン 約3,000〜5,000円/回
腸チフスワクチン 1万円前後/回
水痘・帯状疱疹ワクチン 5,000円~1万円/回

ケニア渡航前ワクチン(予防接種)を
接種する時期と必要回数

病名 ワクチンの種類 0日 1週間 2週間 3週間 4週間 8週間 3ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 18ヶ月
A型肝炎 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
B型肝炎 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
破傷風 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目(2回終了後1年〜1年半)
黄熱 生ワクチン 1回目
髄膜炎 不活化ワクチン 1回目
狂犬病 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目

病名 ワクチンの種類
A型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 2回目 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間 2回目
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 3回目 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
B型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月 3回目
6ヶ月 3回目 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
破傷風 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間 2回目
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月 3回目(2回終了後1年〜1年半)
18ヶ月 3回目(2回終了後1年〜1年半) 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
黄熱 生ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
髄膜炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
狂犬病 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間 2回目
2週間 3週間 3回目
4週間 3回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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1回で接種が完了するワクチンもあるものの、接種完了におおよそ6~12カ月を要するものもあり、計画的に接種する必要があります。また破傷風はワクチンを未接種または未完了の場合と、接種済みの場合で必要回数が異なります。なお、表に記載している狂犬病ワクチンは暴露前のスケジュールです。暴露後の接種はスケジュールが異なるため医療機関への相談が必要です。

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ケニアで気を付けたい病気

旅行者下痢
ケニアでは、下痢の症状に悩まされることがあります。首都圏であっても、水道が十分に整備されていないため、飲水にはミネラルウォーターを購入し、生水を飲まないようにしてください。特におなかの弱い人は注意しましょう。また、手洗いをしっかりと行い、生ものを避け、加熱調理をした食事を冷めないうちにとるように気を付けましょう。
交通事故
ケニアは道路インフラが十分に整備されていないため、交通渋滞が激しく、交通事故の発生件数は多めです。ナイロビ市内は自動車であふれており、運転マナーもよいとはいえません。ケニアにあるマタトゥと呼ばれる小型の乗り合いバスは特に運転が荒いため、近くに寄らないように注意してください。ケニアで運転するときは、十分に気を付けるようにしてください。
マラリア
ケニアの中でも、ヴィクトリア湖の周辺などでマラリアが蔓延しています。マラリアの流行地域に長期滞在するときは、マラリアの予防薬を適切に使いましょう。マラリアの予防薬はナイロビ市内の薬局で販売されており、購入に処方箋は必要ありません。ただし、ナイロビにはマラリアを媒介するハマダラカは生息していません。
高山病
ケニアの首都・ナイロビは、標高1,700m超の高地にあり、気圧が低く酸素量が少ないです。車で3時間ほどのところには、標高5000mを超えるケニア山もあります。このように高地であるため、高山病のリスクが否めません。少し運動しただけで疲労感を覚える人も多く、階段を昇降しただけで息切れすることもあります。また、渡航で環境が変わることで睡眠の質が低下することもあるため、ストレスをためやすくなります。
毒蛇
ケニアには、非常に危険な毒蛇がいます。特にバリンゴ湖周辺では毒蛇の被害が多く出ているため、夜間に出かけるのは避けるようにしてください。特に危険だといわれているのが、ドクハキコブラやブラックマンバなどの種類です。抗毒血清による処置が必要ですが、現地の抗毒血清が不足しているため、そもそも咬まれないように注意する必要があります。

ケニアの基本情報

ケニアは英国の統治下にあったことから、英国文化の影響を受けています。以下にケニアの基本情報をまとめています。

国名 ケニア共和国 通貨 ケニア・シリング
言語 スワヒリ語、英語 チップの習慣 サービス利用分の10%程度をチップとして渡す習慣があります。
宗教 伝統宗教、キリスト教、イスラム教 文化 多くの民族が共存する多民族国家であり、多様な文化を形成しています。
気候 熱帯性気候に属します。3~5月、10~12月と、年に2回の雨季があります。 時差情報 ケニアは、-6時間(日本の方が6時間進んでいます)
服装 日中の気温差が激しいため、体温調節しやすい服装が望ましいです。また日差しが強いので、薄手の長袖、サングラスの着用がおすすめです。 治安情報 ケニア 危険・スポット・広域情報

ケニアの渡航情報

ビザ情報 ケニア入国にビザは不要です。ただし、eTA(電子渡航認証)の取得が必要です。
パスポートの必要有効残存期間 6カ月以上の有効残存期間が必要です。
入国カードの記入について 入出国カードの記入が必要です。入国カードは出国カードと対になっており、機内で配布されます。

入国に必要な手続き

ここではケニアへの入国に必要なものと手続きを説明します。

必要なもの(航空券、パスポートなど)

ケニアへの入国時に必要なものは次のとおりです。

パスポート
パスポートは有効残存期間が6カ月以上あるものを準備します。


航空券
日本からケニアへのフライトに必要となるものです。旅行会社などで購入できます。


出入国カード・税関申告書
機内で配布される出入国カードおよび税関申告書へ記入し、入国時に提示します。税関申告書は、税関への提出が必要です。


必要な手続き(ビザ申請、入国審査、税関検査など)

ケニア入国には次の手続きが必要です。

eTAの申請・取得
ケニア入国には、eTAの取得が必要です。eTAの申請時に提供された情報を基に、渡航の可否が判断されます。申請はオンラインで行うことができ、取得までに3日程度かかることもあるため早めの取得が望ましいです。また、eTAを取得してから90日以内にケニアに入国する必要があり、期限を過ぎると再申請が必要になります。

入国審査(パスポートおよび出入国カードの提示)
入国審査官へパスポートおよび出入国カードを提示し、入国スタンプを押印してもらいます。


税関検査
手荷物を受け取り後、税関にて税関申告書を提出します。また、1万米ドル相当額以上の持ち込みは、申告書への記入が必要となる場合があります。また、500米ドル以上の物品を持ち込む場合は、課税される可能性があるので注意が必要です。


出国に必要な手続き

ここではケニア出国時に必要なものと手続きを説明します。

必要なもの(航空券、パスポートなど)

ケニア出国時に必要なものは次のとおりです。

航空券
飛行機の搭乗券を受け取るのに航空券が必要です。


パスポート
飛行機の搭乗券を受け取る際に、カウンターにてパスポートを提示します。


必要な手続き(ビザ申請、入国審査、税関検査など)

ケニアを出国し、日本へ入国する際に必要な手続きは次のとおりです。

Visit Japan Webへの登録・入力
Visit Japan Webはオンラインにて日本への入国審査や税関手続き、検疫手続きを行えるシステムです。スムーズに入国するために、Visit Japan Webへ登録しておきましょう。登録はスマートフォンまたはパソコンにて行えるものの、利用時はQRコードを提示するため、スマートフォンで登録しておくのが良いでしょう。


顔認証ゲートを通過
顔認証ゲートの通過時にパスポートの顔写真との照合を行い、自動で本人確認が完了します。顔認証ゲートではパスポートにスタンプが押印されません。押印が必要な場合は、税関検査を受ける前に申し出る必要があります。


検疫手続き
日本国内へ肉製品を持ち込む場合は動物検疫、植物を持ち込む場合は植物検疫をそれぞれ受けなければなりません。肉製品に関しては、輸出国の検査証明書のないものは持ち込みが不可です。また、輸入禁止品も持ち込めません。

また植物については、輸入禁止品でないもので、検査証明書が不要なものであれば検査は不要です。輸入禁止品および検査証明書が必要な植物を所持している場合は植物検疫を受けます。輸入禁止品および検査証明書が必要であるものの付与されていない植物は持ち込めません。


税関検査
税関検査では、輸入が禁止・規制されている物品や、申告が必要な範囲の額の現金などの所持の有無を確認します。Visit Japan Webにて税関申告の準備を行っていれば、税関検査場に設置されている端末でQRコードおよびパスポートの読み取りを行い、ゲートを通過するだけで申告が完了します。

Visit Japan Webで税関申告の準備を行っていない場合には、税関検査場にある書類への記入および申告が必要です。税関検査が終われば、帰国手続きは完了です。


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記事担当:ワクチンナビ編集部

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Q&A

よくある質問

ケニアに入国するには黄熱病ワクチンの接種は必要ですか?
黄熱ワクチン接種による証明書は必須ではありません。ただし、黄熱の流行地域であるため、ワクチン接種が推奨されています。
黄熱病のワクチンは何年有効ですか?
黄熱ワクチンは1回の接種で生涯有効です。
ケニアには現金をいくらまで持ち込めますか?
現金の持ち込みに制限はありません。ただし、1万米ドル以上を持ち込む場合には、税関にて質問を受けたり、申告書への記入を求められたりすることがあります。
ケニアでドルは使えますか?
全ての場所でドルを使用できるわけではないものの、米ドルを使える場所は多いです。
ケニアは日本からアクセスするにはどうしたらいいですか?
現在、日本からケニアへの直行便を提供している航空会社はありません。通常は中東や東南アジアでの乗り継ぎが必要です。多くの場合、ドバイ、アブダビ、バンコクを経由してナイロビに向かいます。乗り継ぎ地によって所要時間は異なりますが、おおよそ17時間ほどを見積もると良いでしょう。

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渡航先や目的によって予防接種の種類はさまざま。
複数回摂取が必要なワクチンも。
以下よりワクチンのご予約が可能です。

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