インドネシア渡航前の推奨ワクチン
インドネシアは日本の約5倍の面積を持ち、大小1万7,000以上の島々から構成される島嶼国です。人気のバリ島や自然豊かなスマトラ島、首都ジャカルタのあるジャワ島など、渡航先によってさまざまな魅力があります。インドネシア渡航前に気をつけたいのが、感染症予防のためのワクチン接種です。
外務省によると、インドネシアが属する東南アジア地域に渡航する場合は、以下の病気の予防接種などを受けることが推奨されています。
・A型肝炎
・麻疹
・風疹
・水痘
・新型コロナウイルス感染症
・インフルエンザ
・破傷風
・日本脳炎
・狂犬病
・腸チフス
・髄膜炎
ここでは、インドネシア渡航にあたって注意すべき感染症の症状や主な感染経路について解説します。
- A型肝炎
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感染経路 A型肝炎は、A型肝炎ウイルスが原因で発症するウイルス性の肝炎です。主に水や食品を通じて感染するため、インドネシアで飲食する際はよく手洗いし、しっかりと加熱しましょう。 症状 A型肝炎に罹患すると、2~6週間の潜伏期間を経て、発熱や頭痛、倦怠感などの全身症状や、食欲不振などの消化器症状が現れます。
- 麻疹
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感染経路 麻疹は「はしか」とも呼ばれ、麻疹ウイルスが原因で発症する急性ウイルス性発疹症です。感染力が非常に強く、空気感染や飛沫感染、接触感染を通じて感染します。 症状 麻疹に罹患すると、10~12日程度の潜伏期間を経て、全身の特徴的な発疹の他、高熱やのどの痛み、目の充血などの症状が現れます
- 風疹
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感染経路 風疹は「三日はしか」とも呼ばれ、風疹ウイルスが原因で発症する急性ウイルス性発疹症です。麻疹とよく似ていますが、感染経路は飛沫感染や接触感染で、空気感染(患者の口から飛んだ飛沫の一部が、長時間空気中に滞留して感染の原因となること)はしません。 症状 風疹に罹患すると、2~3週間の潜伏期間を経て、麻疹のような全身の発疹や軽い発熱が生じます。「三日はしか」という名前のとおり、風疹の症状は3~5日程度で消失することが一般的です。
- 水痘
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感染経路 水痘は「水ぼうそう」とも呼ばれ、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で発症する感染症です。水痘の主な感染経路は空気感染や接触感染で、感染力が強い病気として知られています。 症状 水痘の症状は多岐にわたり、全身の発疹や発熱を伴います。大人の方が感染すると、重篤化して髄膜炎や脳炎などを引き起こす可能性があるため、渡航先で気をつけたい感染症の一つです。
- 新型コロナウイルス感染症
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感染経路 新型コロナウイルス感染症は「COVID-19」とも呼ばれ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が原因で発症する感染症です。
主な感染経路は飛沫感染や接触感染です。また飛沫よりも小さな粒子(エアロゾル)が空気中に滞留し、感染が広がる「マイクロ飛沫感染」も感染経路の一つに挙げられています。症状 症状は風邪やインフルエンザと似ており、感染初期は発熱や咳、のどの痛みなどの症状が見られます。重篤化すると、肺炎を起こす可能性もあります。
- インフルエンザ
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感染経路 インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因で発症する急性呼吸器感染症です。
主な感染経路は飛沫感染や接触感染で、インフルエンザに罹った人を介して感染します。高齢者や基礎疾患のある方は症状が重篤化しやすいため、渡航先では注意してください。症状 日本では季節ごとに流行しており、毎年12月から3月頃にかけて感染者が急増します。通常の風邪よりも症状が重く、咳や鼻水、のどの痛みに加えて、高熱や全身の倦怠感、関節痛や筋肉痛などの症状が現れます。
- 破傷風
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感染経路 破傷風菌によって引き起こされるものになり、小さな傷口から体内に菌が侵入することで感染します。1968年より日本でも定期予防接種が行われており、感染者の数は激減しています。インドネシアの土壌や動物の糞便などに広く存在しているといわれており、5類感染症にも定められています。 症状 神経への影響が大きく、顔の筋肉の硬直や引きつり、口が開きにくいなどの違和感が起きます。その後、全身の筋肉の縮みが見られたり、痙攣や背中を反る姿勢になります。
- 日本脳炎
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感染経路 コガタアカイエカという蚊を媒介にして感染するといわれています。潜伏期間は5日~15日と個人差もあり、致死率が40%(最大)あるため注意が必要です。また、後遺症のリスクもあり半数程度の人に見られることでも知られています。日本を含む多くの国で定期的なワクチン接種が推奨されています。 症状 症状が出ない人も多いものの、進行すると頭痛や38度を超える高熱が見られます。その後、意識障害や麻痺症状、筋硬直などが現れることもあります。痙攣を伴う脳症を発症することもあるので、麻痺やけいれんなどの症状がでる可能性も考えられます。
- 狂犬病
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感染経路 狂犬病ウイルスによる人間や獣の共通感染症として知られています。1度発症すると、ほぼ100%の人が亡くなるといわれています。ウイルスを保有している犬や猫、コウモリなどの野生動物に噛まれたり、引っかかれたりして傷口を介して感染します。インドネシアでも毎年、数百人の死者が出るなどバリ島付近で多く見られます。 症状 潜伏期間には個人差があり、初期の段階では発熱や頭痛、嘔吐や悪心、全身の倦怠感などの症状が見られます。傷口部分に痛みを感じることもあります。
- 腸チフス
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感染経路 サルモネラ菌による感染症になり、少量でも症状が見られます。菌を保有している人の排泄物や食べ物・水を摂取することで感染のリスクが高まります。日本でも発症しており、海外で感染し帰国したあとに輸入感染する人もいます。潜伏期間は6日~1か月程度と、症状が出るまでに個人差があるのも特徴です。 症状 初期の頃には、39度を超える高熱が1週間程度続きます。その後、下痢や胸腹部に、紅色の発疹が出て気付くケースも少なくありません。高熱ですが、脈が遅いのは腸チフスならではの特徴として知られています。
- 髄膜炎
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感染経路 髄膜炎はウイルスや細菌が原因となるもので、脊髄膜や脳膜に炎症を起こしてしまいます。国によっては髄膜炎ワクチンを接種するのをビザの発行条件としている場所もあります。髄膜炎になると1日~2日の間に5%~10%の人が亡くなり、後遺症になるリスクも高まるといわれています。 症状 激しい頭痛や高熱の症状が出ます。さらに、嘔吐や吐き気が続き、過敏症に悩まされることもあります。重症化してしまうと1割程度の人に難聴や神経障害がおき、後遺症に悩まされることになります。
各種ワクチン金額相場
ワクチン名 | 相場価格/回 |
---|---|
A型肝炎ワクチン | 1万円前後/回 |
MR(麻疹・風疹の混合)ワクチン | 1万円前後/回 |
水痘・帯状疱疹ワクチン | 5,000円~1万円/回 |
新型コロナ(mRNA)ワクチン | 0円(令和6年4月以降は原則有料)/回 |
インフルエンザワクチン | 3,000~5,000円/回 |
破傷風 | 3,000~5,000円/回 |
日本脳炎 | 5,000〜9,000円/回 |
狂犬病 | 1万5,000〜2万円/回 |
腸チフス | 1万円前後/回 |
髄膜炎 | 2万5,000円前後/回 |
インドネシア渡航前ワクチン(予防接種)を
接種する時期と必要回数
病名 | ワクチンの種類 | 0日 | 1週間 | 2週間 | 3週間 | 4週間 | 3ヶ月 | 6ヶ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A型肝炎 | 不活化ワクチン | 1回目 | 2回目 | 3回目 | ||||
MR | 生ワクチン | 1回目 | 2回目 | |||||
水痘・帯状疱疹 | 生ワクチン | 1回目 | 2回目 | |||||
新型コロナウイルス感染症 | mRNAワクチン | 1回目 | 2回目 |
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
A型肝炎 | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 1回目 | 1週間 | |
2週間 | 2回目 | 3週間 | 2回目 |
4週間 | 2回目 | 3ヶ月 | |
6ヶ月 | 3回目 | 12ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
A型肝炎 | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 1回目 | 1週間 | |
2週間 | 2回目 | 3週間 | 2回目 |
4週間 | 2回目 | 3ヶ月 | |
6ヶ月 | 12ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
麻疹・風疹 | 生ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 1回目 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 2回目 | 3ヶ月 | |
6ヶ月 | 12ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
水痘・帯状疱疹 | 生ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 1回目 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 2回目 | 3ヶ月 | |
6ヶ月 | 12ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
新型コロナウイルス感染症 | mRNAワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 1回目 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 3ヶ月 | 2回目 | |
6ヶ月 | 12ヶ月 |
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
インフルエンザ | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 1回目 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 2回目 | 3ヶ月 | |
6ヶ月 | 12ヶ月 |
閉じる
閉じる
※ワクチンの種類によって、接種する時期や必要回数が決まっています。例えば、MRワクチンや水痘・帯状疱疹ワクチンなどの生ワクチンは、一度接種すると4週間は他のワクチンを接種できません。上記の表を参考にして、計画的にワクチン接種のスケジュールを立ててください。
インドネシアで気を付けたい病気
- 旅行者下痢
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インドネシアでよくあるのが下痢症状です。腸チフスや食中毒などの原因によって引き起こされ、原因を特定できないことも多くあります。基本的には軽症になりますが、血便を伴う下痢や体重減少が見られるときは早めに医療機関を受診してください。なかでも腸チフスは、熱が長引くことが多く診断が出るまでに時間がかかることも少なくありません。
- 蚊を媒体とするもの
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デング熱やマラリアなどの蚊を媒体とする感染症があります。潜伏期間は4日から2週間程度になり、梅雨の時期に患者数も増加します。刺されると、倦怠感や発熱、頭痛、関節痛に加え目の奥の痛みを発症することもあります。重症度も個人差がありますが、風邪程度の症状でも長引くことが多いといわれています。
- 事故
-
交通事故ではないものの海がありウォータースポーツが盛んに行われています。事故やケガのリスクがあるため、周辺で受診できる病院があるかどうか確認しておきましょう。遠隔地になると対応が遅れてしまうこともあり、事故対応がすぐにできません。
- 狂犬病
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インドネシアのジャカルタでは野犬を見ることはほぼありません。バリ島周辺で犬や猫、こうもり、猿などの野生動物に噛まれると狂犬病を発症するリスクもあります。狂犬病を保有している可能性がある動物に噛まれたときは、傷口を洗い医療機関を受診します。予防効果のあるワクチンを接種する必要があります。
- 日射病
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インドネシアは、通年通して28度から30度前後です。屋外は紫外線も強いため、日射病対策を忘れずに行うようにしましょう。30度以上になることはないので、そこまで高温ではないからと油断する事のないように、こまめに水分を摂取するようにしてください。
インドネシアの基本情報
国名 | インドネシア共和国(Republic of Indonesia) | 通貨 | インドネシア・ルピア |
---|---|---|---|
言語 | 主としてインドネシア語 | チップの習慣 | レストランやホテル、タクシー、スパなど、サービスを受けたときにチップを渡す習慣がある |
宗教 | イスラム教やキリスト教、ヒンズー教、仏教など多様性がある | 文化 | インドネシアはイスラム教徒が多く、宗教上のタブーに注意が必要。中東地域と比べて戒律は厳しくないが、イスラム教徒の前ではアルコール類の話題や、露出の多い服装(女性の場合)は避けた方が無難 |
気候 | 熱帯性気候に属し、最高気温は一年を通じて30度を超えるため、乾季(4月~9月頃)だけでなく雨季(10月~3月頃)も熱中症対策が必要 | 時差情報 | ジャカルタは、-2時間(日本の方が2時間早く進行) |
服装 | 最高気温が30度を超える日が続くため、半袖やハーフパンツなど、身軽で動きやすい服装を選ぶと快適に過ごせる。また、日差しが強いため、帽子やサングラスなどの紫外線対策は必須 | 治安情報 | インドネシア 危険・スポット・広域情報 |
インドネシアの渡航情報
インドネシアへの渡航にあたって、知っておきたいビザ・パスポート・入国カードの情報をまとめました。
ビザ情報 | 2022年4月6日より制度が変わり、日本のパスポートを有する方でも、インドネシア入国時に空港で到着ビザ(VOA)の取得が必要になりました (※観光目的の場合) |
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パスポートの必要有効残存期間 | インドネシア入国時点で、有効残存期間が6カ月以上のパスポートを準備しましょう |
入国カードの記入について | 現時点で、インドネシアでは入国カードの記入が免除されています |
インドネシア入国に必要な手続き
インドネシアに入国する際に必要な手続きは、基本的に入国審査と税関の2つです。事前に用意すべきものや手続きの流れを解説します。
必要なもの(航空券、パスポートなど)
航空券
インドネシアに入国したら、入国審査カウンターでパスポートと航空券(帰路)を提示し、入国審査をする必要があります。
パスポート
パスポートの有効残存期間が、インドネシア入国時点で6カ月以上残っているか確認しましょう。
必要な手続き(ビザ申請、入国審査、税関検査など)
ビザ申請
現在、日本のパスポートを有する方へのビザ免除措置は停止されています。観光目的の場合、事前にビザを申請する必要はなく、入国審査カウンターでの手続きの際に到着ビザ(VOA)を取得できます。到着ビザの取得には、50万ルピアの手数料がかかります。
入国審査
入国審査カウンターでパスポートと帰りの航空券(またはeチケット)を入国審査官に提示し、滞在目的を告げましょう。インドネシアへの滞在目的として認められるのは、観光、商談、商品購入、ビジネス、政務用務、他国への乗り継ぎなどです。入国審査が完了したら、預けた荷物を受け取りましょう。
税関
インドネシアでは、税関申告が電子化(e-CD)されています。税関申告が必要なものを持ち込む場合は、事前にインドネシア税関のホームページで手続きを済ませ、到着時に税関カウンターでQRコードを提示しましょう。
インドネシア出国に必要な手続き
インドネシアから日本への出国(帰国)に必要なものは以下のとおりです。
必要なもの(航空券、パスポートなど)
航空券
空港に到着したら、航空会社のカウンターで帰りの航空券とパスポートを提示し、飛行機の搭乗券を受け取りましょう。
パスポート
空港での出国審査の際に、搭乗券とパスポートの2点を提示する必要があります。
必要な手続き(ビザ申請、入国審査、税関検査など)
出国審査
まずは出発ターミナルの入口で荷物検査を受け、荷物を預けます。その後、航空会社のチェックインと搭乗券の受け取りが完了したら、出国審査が必要です。出国審査カウンターで搭乗券とパスポートを提示し、パスポートに出国スタンプを押してもらいましょう。
関税
税関申告が必要なものを持ち出す場合、税関カウンターで申告しましょう。入国時の税関申告は全面的に電子化されていますが、出国時はカウンターでの手続きが必要です。
Q&A
よくある質問
- インドネシア渡航時に必要な予防接種は何ですか?
- 短期滞在の方は、A型肝炎、麻疹・風疹、水痘、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症などの予防接種が推奨されています。長期滞在や冒険旅行の場合は、B型肝炎、狂犬病、日本脳炎、破傷風などのワクチン接種も望ましいとされています。
- インドネシアへ入国する前にPCR検査は必要ですか?
- 現在、日本出国前のPCR検査は廃止され、そのままインドネシアに入国することができます。
- インドネシア渡航にあたってワクチン接種証明書は必要ですか?
- 2023年6月9日より、インドネシアでは新型コロナウイルス感染症の水際対策が緩和され、入国時や国内移動時のワクチン接種証明書の提示義務がなくなっています。
- インドネシアには現金をどのくらい持ち込めますか?
- 1億インドネシアルピア(2023年12月のレートで約96万円)以上に相当する現金(日本円)を持ち込む場合、税関申告が必要です。税関申告を行わなかった場合、持ち込んだ現金の10%の罰金が科されます。
- インドネシアの国内移動時にどのような移動手段が使えますか?
- インドネシアは大小1万7,000以上の島々から構成される島嶼国のため、国内の主な移動手段は飛行機です。都市部の移動手段には、タクシーやバスなどがありますが、十分に安全を確認してから利用してください。
Popular place
人気の渡航先
今後行く可能性が高い、
渡航先のワクチン情報をチェックしましょう。
Information
各国で流行している感染症
渡航先の近くで流行している、または、今後国内で発生するリスクのある感染症を予習しておきましょう。
Colum
お役立ちコラム
Reservation
海外渡航前には
ゆとりをもってワクチン接種を。
渡航先や目的によって予防接種の種類はさまざま。
複数回摂取が必要なワクチンも。
以下よりワクチンのご予約が可能です。