中国渡航前の推奨ワクチン

中国渡航を予定されている方に接種が推奨されているワクチンは下記です。

・破傷風
・A型肝炎
・B型肝炎
・日本脳炎
・狂犬病
・インフルエンザ
・腸チフス
・流行性耳下腺炎(ムンプス)
・水疱瘡

それぞれの病気の感染経路や症状、ワクチンの詳細を併せて解説します。

破傷風
破傷風 破傷風は土壌や動物の糞などに存在する破傷風菌によって、引き起こされる病気です。傷口から菌が入り込むことで感染し、発症した場合は死亡する恐れもあります。人から人に感染することはありません。
症状 初期症状では筋肉のけいれんやこわばり、頭痛を感じるうえに口が開きにくい「開口障害」が見られます。ものを飲み込むのが難しくなり、頭部から背中までが弓なりに反るのも特徴です(意識は保たれる)。
ワクチンについて 日本では年間100人ほど感染しますが、破傷風を患う多くの方はワクチンを接種していないか、ワクチンの効果が弱まっている状態です。日本ではワクチン接種率が高いため、ケガをしやすい子どもが発症することは少なくなりました。
2回目のワクチンは初回を打ってから3~8週間後、3回目は2回目の接種から1年~1年半後が推奨されています。
A型肝炎
感染経路 A型肝炎は糞便に含まれるウイルスが人の手を介して食材に付着し、口に入ることで感染します。経口感染が主な原因ですが、性行為や輸血による血液感染も報告されています。
ウイルスは世界中で分布されていますが、特に上下水道設備が不十分な地域や不衛生な環境で感染が多く発生しているのがA型肝炎の特徴です。
症状 ウイルスに感染して2~7週間の潜伏期間後に急な発熱や食欲不振、嘔吐、吐き気が見られます。数日後に皮膚や白目の部分が黄色くなる「黄疸」が現れることも。子どもよりも成人の方が症状の現れ方が顕著で、高齢者が感染した場合は重症度や死亡率が高くなります。
ウイルスの潜伏期間中や症状の消滅後数週間は、人から人へ感染するリスクがあるため注意が必要です。
ワクチンについて ワクチンは2~4週間間隔で2度接種します。6カ月以上海外に滞在する場合は、6カ月目にもう1度接種すれば5年間ほど効果が持続します。
B型肝炎
感染経路 B型肝炎はウイルスに感染した方の血液や体液から感染します。感染経路はB型肝炎に感染している母親から生まれた子どもへの母子感染(垂直感染)と、注射器の使いまわしや性行為などが原因の水平感染があります。
症状 感染して1~6カ月の潜伏期間の後、全身の倦怠感や疲労感、食欲低下が1週間ほど続き、その後は嘔吐や腹痛、黄疸が出るのが特徴です。場合によっては紅斑や関節痛の症状が見られます。
成人の死亡率は1%以下ほどとされていますが、がんや肝硬変を患うケースがあることを覚えておきましょう。
ワクチンについて 衛生管理の整っていない地域でケガや事故などをして、輸血や手術を受けるケーズが考えられる場合は、ワクチンを接種するのがおすすめです。ワクチン接種で抗体ができるのは2度目を接種してから2週間後以降です。3度接種すれば5年間の抗体が得られるとされています。
日本脳炎
感染経路 日本脳炎は蚊の一種であるコガタアカイエカによってウイルスが媒介されます。豚の体内でウイルスが増加され、ウイルスを保有している蚊が人を刺すことで感染します。蚊の多い農村部に行く場合や、屋外での行動が多い場合に注意が必要です。
症状 感染して7~15日後に突然発熱し、高熱になることも。また、頭痛や嘔吐、意識障害、精神症状などの脳炎症状が見られ、致死率は15~40%とされています。健康な成人に感染した場合は上記の症状が表れない場合がほとんどですが、高齢者や幼少児は発症するリスクが高くなります。
高熱になった場合や高齢者、幼少児が感染した場合は重篤化しやすく、回復した後は30~50%の人に後遺症が残ることを覚えておきましょう。
狂犬病
感染経路 狂犬病ウイルスによって発症するものになり、1度発症すると100%に近い方が亡くなる病気としても知られています。狂犬病の菌を保有している犬や猫、コウモリに咬まれる、引っかかれることによって発症します。
そのため、中国では野生動物に近づく、触れる行為は控えましょう。潜伏期間も個人差があるので、1週間程度の人もいれば、数年かかって発症することもあります。
症状 狂犬病が発症すると、高熱や頭痛、全身の倦怠感や嘔吐、灼熱感などの症状が出ます。脳神経にまで菌が回ると麻痺を引き起こします。
ワクチンについて 日本で流通しているワクチンはラビピュールと呼ばれるものです。咬まれる前に予防接種できるものと、咬まれたあとに行うワクチンがあります。
インフルエンザ
感染経路 インフルエンザワクチンによって引き起こされる感染症になり、その年によって流行している型に違いがあります。咳や鼻を介する飛沫感染によって感染するもので、潜伏期間は1日から2日程度と短いのも特徴です。型が変われば、何度でも感染する可能性があります。自然治癒する場合もありますが、重症化の危険性があるときは接種しておくのをおすすめします。
症状 高熱、頭痛、嘔吐、悪寒が急激に進行するのが特徴です。熱が上がる時に関節痛が起こることもあり、38度以上の熱が続きます。
ワクチンについて 感染後に発症するリスクを抑え、重症化防止効果が期待できると言われています。子供向けの鼻スプレータイプもあります。
腸チフス
感染経路 5月と10月の暑くなる時期に多いのが、腸チフスです。サルモネラ属のチフス菌が原因となり、口を経由して感染します。腸に菌が侵入したあとに、血液中に侵入していくのが特徴です。感染している水や氷を摂取すること、排泄物に少量のチフス菌が入っていても感染します。日本では数十件ほどの珍しい病気ですが、中国をはじめ海外では発症数も多くなります。
症状 高熱や頭痛、吐き気や倦怠感などの症状が見られます。全身にピンク色の発疹が出るものもあり、進行すると腸に穴があくこととあります。
ワクチンについて 国内未承認のワクチンがあるため、予防として接種することが推奨されます。
流行性耳下腺炎(ムンプス)
感染経路 ムンプスによる感染が流行性耳下腺炎です。感染者の唾液のなかに多く含まれており、咳や唾液を介して感染します。ムンプスは中枢神経に感染することもあり、合併症を起こしやすくなります。強い感染力があるため、流行性耳下腺炎は広がりやすい特徴も持っています。自然に治癒することも多い病気ではあります。
症状 耳の下にかかる耳下腺に炎症が起きている状態です。おたふく風邪とも呼ばれるように、両方が腫れることもあれば、片方のみ腫れることもあります。
ワクチンについて 中国では定期予防接種の対象です。予防接種の効果が高いことで知られており、合併症のリスクを軽減できます。
水疱瘡
感染経路 水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。ウイルスの空気感染や接触感染によって感染し、ワクチンの接種をしたことがない人の90%が濃厚接触によって感染することもわかっています。特に、免疫力の低下している人や、乳幼児を含む子ども、成人や妊婦など重篤な合併症を起こす可能性も高くなります。
症状 顔や胸、背中などに水ぶくれのような症状がおき、かゆみを伴うのも特徴です。その後に全身に症状が出てくるようになります。倦怠感や発熱などの症状がおき、食欲不振や頭痛などを併発することもあります。
ワクチンについて 生ワクチンになり、2回接種することで高い予防効果を発揮します。

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各種ワクチン金額相場

ワクチン名 相場価格/回
破傷風ワクチン 3,000〜5,000円/回
A型肝炎ワクチン 1万円前後/回
B型肝炎ワクチン 5,000~8,000円/回
日本脳炎ワクチン 約5,000〜9,000円/回
狂犬病ワクチン 1万5,000〜2万円/回
インフルエンザワクチン 3,000~5,000円/回
腸チフスワクチン 1万円前後/回
水痘・帯状疱疹ワクチン 5,000円~1万円/回

ワクチンの価格は医療機関によってそれぞれ異なるため、事前に確認しておくと安心です。

中国渡航前ワクチン(予防接種)を
接種する時期と必要回数

病名 ワクチンの種類 0日 1週間 2週間 3週間 4週間 8週間 3ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 18ヶ月
破傷風 不活化ワクチン 初回 2回目 3回目(2回終了後1年〜1年半)
A型肝炎 不活化ワクチン 初回 2回目 3回目
B型肝炎 不活化ワクチン 初回 2回目
日本脳炎(国産) 不活化ワクチン 初回 2回目 3回目(2回終了後1年後)
日本脳炎(輸入) 不活化ワクチン 初回
病名 ワクチンの種類
破傷風 不活化ワクチン
期間
0日 初回 1週間
2週間 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間 2回目
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月 3回目(2回終了後1年〜1年半)
18ヶ月 3回目(2回終了後1年〜1年半) 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
A型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 初回 1週間
2週間 2回目 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 3回目 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
B型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 初回 1週間
2週間 3週間
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 3回目 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
日本脳炎(国産) 不活化ワクチン
期間
0日 初回 1週間 2回目
2週間 2回目 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月 3回目
(2回終了後1年後)
18ヶ月 3回目
(2回終了後1年後)
24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
日本脳炎(輸入) 不活化ワクチン
期間
0日 初回 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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※生ワクチンは基本、接種後4週間が経過するまでは他のワクチン接種ができません。そのため、渡航まで時間がない場合は接種するスケジュールに注意しましょう。

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中国で気を付けたい病気

食中毒
暑くなる5月~10月に多く見られるのが、食中毒による下痢症状です。中国で下痢になる方の多くはウイルスや細菌に汚染された食べ物を接種することによる胃腸炎です。また、感染者の排泄物や嘔吐を介して接触感染することも考えられます。食中毒は通年通して多く見られるものとしても知られています。
マラリア
世界的に重要な感染症として知られるマラリアは、中国では海南省や雲南省に危険地域が分布しています。そのため中国に渡航するときはマラリア予防薬を服用することや、長袖・長ズボンを履き蚊に刺されないようにすること、虫よけクリームを使って予防しましょう。マラリアは、急速に悪化することもあるため注意が必要です。
鳥インフルエンザ
鳥に直接触り、死んだ鳥に触れることで感染します。人から人に感染するのは確認されていないものの、鳥インフルエンザが流行していないかどうか確認するようにしてください。中国から帰国したあとに、38℃以上の発熱や咳などの呼吸器疾患がある人は、鳥インフルエンザの可能性があるため確認するようにしてください。
狂犬病
中国では狂犬病に感染するリスクがあり、ウイルスを持った犬や猫などの野生動物に咬まれることで感染します。中国でも発症数は減少傾向にありますが、亡くなる可能性も高く危険な病気としても認識されています。中国では感染を予防するためにも、青空市場などの犬猫、鳥やハムスターの購入を避けるようにしましょう。
結核
中国は結核患者数が世界的に見ても多いといわれています。新規感染者の人数が多いのはもちろん、感染してから受診するまでの時間が長いことでも知られています。特に西部内陸部での感染者の比率が高い事で知られており、仕事を求めて内陸部から流入していることが関係しています。空気感染によって広まるため、周囲に感染が広がりやすいのも特徴です。

中国の基本情報

国名 中華人民共和国 言語 中国語
宗教 仏教、道教、儒教など 気候 北部、中部、南部、西部によって異なる。北部は寒冷で南部は温暖
服装 現代的なファッションが一般的。ビジネスではフォーマルな服装が主流 通貨 人民元(CNY)
チップの習慣 あり。レストランでは食事代の10~20%が一般的 文化 5000年以上の歴史を有しており、豊かな伝統と芸術が根付いている
時差情報 日本の方が1時間進んでいる 治安情報 中国 危険・スポット・広域情報

中国の渡航情報

下記の条件に当てはまる場合、ビザ申請が免除されます。
・各種査証免除協定が対象な方
・中国永住許可を保持する方
・各種在留許可証を所持する方
・APECビジネストラベルカードを所持する方

中国の渡航情報に関する詳細は外務省のホームページにてご確認ください。

ビザ情報 多くの場合必要
パスポートの必要有効残存期間 有効期限が6カ月以上必要
入国カードの記入について 到着時に入国カード(Arrival Card)の記入が必要

入国に必要な手続き

こちらでは、中国入国に必要なものや手続きを解説します。忘れ物や申請のし忘れがあると、最悪の場合入国できないことがあるので、しっかりと準備しましょう。

必要なもの

中国入国に必要なものは以下の通りです。


パスポート
パスポートがないと出国できません。有効期限が6カ月以上あるか確認しましょう。


航空券
紙のチケットの場合と電子チケットの場合があるため事前に確認しておきましょう。


クレジットカード
サービス利用や商品の購入に必要です。利用できないカード会社もあるので2、3枚用意しておくと安心です。


人民元
現地到着時の現金支払いに対応するため、少額の現金を用意しておきましょう。


日本円
国内での支払いに対応するため、現金を用意しておきましょう。


必要な手続き

中国入国に必要な手続きは以下の通りです。

ビザ
ほとんどの方は渡航目的に応じたビザが必要です。ビザは日本国内のビザ申請サービスセンターや総領事館で取得可能です。


入国審査
到着した現地の空港で入国審査をします。顔写真の撮影や指紋認証、入国管理官とのやり取りが行われます。


税関検査
税関に申告するものがある場合は係員に伝えて、用紙に必要事項を記入します。申告すべき物品がない場合は記入不要です。


入国カードの記入
中国入国時に配布される入国カードには、名前やビザ番号、中国での滞在先などを記入しましょう。


出国に必要な手続き

こちらでは、中国出国に必要なものや手続きを解説します。忘れ物や申請のし忘れがあると、最悪の場合帰国できないケースがあるので、しっかり確認しましょう。

必要なもの

中国出国や帰国に必要なものは以下の通りです。

パスポート
中国入国時と同様、パスポートがないと出国できません。


航空券
紙チケットか電子チケットのどちらが必要か事前に確認しておきましょう。


クレジットカード
日本円がない場合の支払いに便利です。キャッシングで現金を得ることも可能です。


日本円
帰国時の支払いに対応するため、必要な分の現金は残しておきましょう。


必要な手続き

中国出国や帰国に必要な手続きは以下の通りです。

Visit Japan Web(入国手続オンラインサービス)
入国審査と税関申告、携帯品・別送品申告に必要な情報を前もって登録可能です。登録は必須ではありませんが、日本に帰国したときの審査や提出を省略できます。


検疫手続き
動物や植物、一部の食品などを日本に持ち込んだ場合は検疫の対象になります。


別送品の手続き
別送品とは郵送で渡航先から日本に送ったもののことです。別送品がある場合は帰国時の税関検査で手続きが必要です。


Q&A

よくある質問

中国に渡航する場合、接種が推奨されるワクチンはありますか?
A型肝炎やB型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病などです。
日本から中国に渡航する場合、PCR検査や抗原検査は必要ですか?
2023年8月30日時点で不要になりました。
中国から日本入国時に、PCR検査や抗原検査は必要ですか?
2024年1月現在、日本入国時のPCR検査や抗原検査は不要です。
中国に渡航する場合、中国入国健康申告は必要ですか?
2023年11月1日から健康申告は不要になりました。
中国には何日間滞在できますか?
観光ビザおよび短期商用ビザは発行日から3カ月間有効で1回の入国で最大30日間滞在可能です。長期滞在ビザであれば90日間まで滞在可能ですが、パスポート残存期間が10カ月以上必要になります。

Popular place

人気の渡航先

今後行く可能性が高い、
渡航先のワクチン情報をチェックしましょう。

ミクロネシア

マーシャル

ボスニア・ヘルツェゴビナ

Information

各国で流行している感染症

渡航先の近くで流行している、または、今後国内で発生するリスクのある感染症を予習しておきましょう。

マラリア

腸チフス

ヒトパピローマウイルス

Colum

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海外出張の際に必要な持ち物リスト。持って行った方が良いものは?

Reservation

海外渡航前には
ゆとりをもってワクチン接種を。

渡航先や目的によって予防接種の種類はさまざま。
複数回摂取が必要なワクチンも。
以下よりワクチンのご予約が可能です。

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