チャド渡航前の推奨ワクチン
チャドは、アフリカの中央部に位置し、リビア、スーダン、カメルーン、ナイジェリアなどに囲まれた内陸国です。チャドに渡航する際には、事前にさまざまな感染症から身を防ぐためのワクチン接種がおすすめです。ここからは、チャド渡航前に接種を推奨するワクチン、すなわち黄熱・A型肝炎・B型肝炎・ポリオ・麻疹・風疹・水痘・破傷風・インフルエンザ・新型コロナウイルスについて、それぞれの特徴や症状について詳しく解説します。
- 黄熱
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感染経路 A型黄熱とは、急性ウイルス性出血熱の一つで、アフリカ熱帯地域やアマゾン川流域の亜熱帯雨林地域などに存在する国で流行しています。黄熱ウイルスを保有する蚊に刺されることで感染するのが特徴です。 症状 黄熱の症状には、発熱・悪心・頭痛・嘔吐などがあり、重症化してしまうと黄疸や腎不全を引き起こし、最悪の場合には死に至ります。 ワクチンについて 接種10日後には、90%の免疫効果に期待できるので、渡航前に予防接種を済ましておくことをおすすめします。
- A型肝炎
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感染経路 A型肝炎は、主に汚染された水や食べ物を介して感染する肝臓の病気です。特に、上下水道の衛生環境が整っていない地域で発生しています。 症状 潜伏期間は15〜50日と幅広く、主な症状は食欲不振、倦怠感、発熱・嘔吐・下痢などです。重症化すると急性腎不全を引き起こす可能性もあります。 ワクチンについて A型肝炎のワクチン接種には、6カ月ほどの期間が必要です。余裕を持ったワクチン接種計画を立てましょう。また、なるべく生水や生ものは食べないよう注意してください。
- B型肝炎
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感染経路 B型肝炎は、血液感染によって肝障害を引き起こすウイルス性の病気です。このウイルスは、B型肝炎ウイルスを保有する人の血液、その他体液から感染します。 症状 B型肝炎は、感染期には症状が現れない人がほとんどです。しかし、中には褐色尿・倦怠感・嘔吐・腹痛・悪心などの症状が続く人もいます。 ワクチンについて なかでも急性B型肝炎は、感染してしまうと特別な治療法がないため、事前の予防接種を推奨します。ワクチン接種は1回目から4週間の間隔をあけて2回目の接種し、1回目から5〜6カ月の間隔をあけて3回目を接種します。
- ポリオ
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感染経路 ポリオは、ポリオウイルスが人の口の中から入り、腸の中で増殖することで感染する病気です。大人が感染することもありますが、感染者の多くが乳幼児なのが特徴です。 症状 ポリオに感染してもほとんどの人が症状を感じませんが、数日してから頭痛や発熱、喉の痛み、吐き気など、風邪のような症状が現れる場合もあります。重症化すると後遺症が残ったり、呼吸困難によって死亡する可能性もあるため、ワクチン接種での予防がおすすめです。 ワクチンについて ポリオのワクチンは初回接種を3回、追加接種を1回の合計4回接種する必要があります。長期間を要する点に注意してください。
- 髄膜炎
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感染経路 髄膜炎とは、髄膜炎菌によって引き起こされる感染症です。 症状 主にくしゃみや咳などの飛沫で人から人へと直接感染するのが特徴です。髄膜炎の症状は、頭痛・発熱・首の動作異常が現れます。正しい治療が施されなければ死に至る可能性があります。 ワクチンについて ワクチンの接種は種類によっては1回のみで完了です。
- 麻疹・風疹
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感染経路 麻疹・風疹は、いずれも感染力の強いウイルスによって引き起こされる感染症です。 症状 主に麻疹は空気・飛沫感染、風疹は飛沫感染です。麻疹の症状としては風邪のような症状と発疹や全身の皮疹、風疹は麻疹とよく似た症状に加えてリンパ節の腫れなどが見られます。 ワクチンについて 麻疹・風疹のワクチンは1回目から1カ月間隔をあけての2回接種です。
- 水痘
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感染経路 水痘とは、水疱瘡とも呼ばれ、水痘帯状疱疹ウイルスによって発症する感染症のことです。 症状 飛沫・空気・接触で感染し、主に小児が発症します。水痘は、発症すると発疹や紅斑から始まり、水疱や膿疱が見られます。合併症などのリスクもあるため、ワクチンの接種がおすすめです。 ワクチンについて ワクチンは、1回目から4週間の間隔をあけて2回目を接種します。
- 破傷風
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感染経路 破傷風は、怪我をした際などに傷口から破傷風菌が体内に侵入して感染します。破傷風菌は、主に世界のさまざまな場所にある土の中にあります。特に、動物の糞便を含む土壌には要注意です。 症状 感染すると、舌のもつれ・顔の歪みなどの症状が現れ、悪化すると閉口障害、最悪の場合には呼吸困難で死亡します。 ワクチンについて 破傷風のワクチンは、1回目から3〜8週間の間隔をあけての2回目を接種し、2回目から1年~1年半の間隔をあけて3回目を接種します。
- インフルエンザ
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感染経路 インフルエンザは、鼻や喉などの上気道の粘膜にインフルエンザウイルスが感染して起こる病気です。 症状 主な症状には、頭痛・高熱・関節痛・筋肉痛などがあります。感染経路は、飛沫・接触感染が一般的です。 ワクチンについて インフルエンザのワクチンは、1回目接種から4週間程の間隔をあけて2回目の接種を行います。
- 新型コロナウイルス感染症
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感染経路 新型コロナウイルス感染症とは、飛沫・接触により感染するウイルス性の感染症のことです。主に、咳などの呼吸器症状が現れ、軽症の場合がほとんどですが、重症化してしまう可能性も少なくありません。 症状 感染初期段階は、風邪のような症状でインフルエンザとは区別が困難です。重症化リスクをなるべく減らすためにも、ワクチンの接種を推奨します。 ワクチンについて 新型コロナウイルスのワクチンは、1回目接種後、3カ月の間隔をあけて2回目を接種します。
各種ワクチン金額相場
ワクチン名 | 相場価格/回 |
---|---|
黄熱 | 1万2,000円/回 |
A型肝炎ワクチン | 1万円前後/回 |
B型肝炎ワクチン | 5,000〜8,000円/回 |
ポリオワクチン | 7,000〜1万円/回 |
髄膜炎ワクチン | 2万5,000円前後/回 |
MR(麻疹・風疹の混合)ワクチン | 1万円前後/回 |
水痘・帯状疱疹ワクチン | 5,000〜1万円/回 |
破傷風ワクチン | 3,000〜5,000円/回 |
インフルエンザワクチン | 3,000〜5,000円/回 |
新型コロナ(mRNA)ワクチン | 0円(令和6年4月以降は原則有料)/回 |
当クリニックでは、水痘・帯状疱疹ワクチン、MR(麻疹・風疹の混合)ワクチン、新型コロナウイルス感染症ワクチン(mRNAワクチン)、インフルエンザワクチンをお取り扱いしています。
チャド渡航前ワクチン(予防接種)を
接種する時期と必要回数
病名 | ワクチンの種類 | 0日 | 1週間 | 2週間 | 3週間 | 4週間 | 8週間 | 3ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 12ヶ月 | 18ヶ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A型肝炎 | 不活化ワクチン | 初回 | 2回目 | 3回目 | ||||||||
B型肝炎 | 不活化ワクチン | 初回 | 2回目 | 3回目 | ||||||||
ポリオ | 不活化ワクチン | 初回 |
2回目(1回目終了後3~8週間) 3回目(2回目終了後3~8週間) |
4回目(3回目終了後1年) | ||||||||
髄膜炎 | 不活化ワクチン | 初回 | ||||||||||
麻疹・風疹(MR) | 生ワクチン | 初回 | 2回目 | |||||||||
水痘・帯状疱疹 | 生ワクチン | 初回 | 2回目 | |||||||||
破傷風 | 不活化ワクチン | 初回 | 2回目 | 3回目(2回終了後 1年~1年半) | ||||||||
インフルエンザ | 不活化ワクチン | 初回 | 2回目 | |||||||||
新型コロナウイルス感染症 | mRNAワクチン | 初回 | 2回目 |
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
A型肝炎 | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 2回目 | 3週間 | 2回目 |
4週間 | 2回目 | 8週間 | |
3ヶ月 | 5ヶ月 | ||
6ヶ月 | 3回目 | 12ヶ月 | |
18ヶ月 | 24ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
B型肝炎 | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 2回目 | 8週間 | |
3ヶ月 | 5ヶ月 | 3回目 | |
6ヶ月 | 3回目 | 12ヶ月 | |
18ヶ月 | 24ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
ポリオ | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | ||
3週~3ヶ月間 |
2回目(1回目終了後3~8週間) 3回目(2回目終了後3~8週間) |
||
12~18ヶ月 | 4回目(3回目終了後1年) | ||
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
髄膜炎 | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 8週間 | ||
3ヶ月 | 5ヶ月 | ||
6ヶ月 | 12ヶ月 | ||
18ヶ月 | 24ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
麻疹・風疹(MR) | 生ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 2回目 | 8週間 | |
3ヶ月 | 5ヶ月 | ||
6ヶ月 | 12ヶ月 | ||
18ヶ月 | 24ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
水痘・帯状疱疹 | 生ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 2回目 | 8週間 | |
3ヶ月 | 5ヶ月 | ||
6ヶ月 | 12ヶ月 | ||
18ヶ月 | 24ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
破傷風 | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | 2回目 | |
4週間 | 2回目 | 8週間 | 2回目 |
3ヶ月 | 5ヶ月 | ||
12~18ヶ月 | 3回目(2回終了後 1年~1年半) |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
インフルエンザ | 不活化ワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 2回目 | 8週間 | |
3ヶ月 | 5ヶ月 | ||
6ヶ月 | 12ヶ月 | ||
18ヶ月 | 24ヶ月 |
閉じる
病名 | ワクチンの種類 | ||
---|---|---|---|
新型コロナウイルス感染症 | mRNAワクチン | ||
期間 | |||
0日 | 初回 | 1週間 | |
2週間 | 3週間 | ||
4週間 | 8週間 | ||
3ヶ月 | 2回目 | 5ヶ月 | |
6ヶ月 | 12ヶ月 | ||
18ヶ月 | 24ヶ月 |
閉じる
海外渡航前のワクチン接種では、渡航先によって推奨されるワクチンの種類が異なります。事前に情報収集を行い、必要なワクチンを漏れなく接種しましょう。また、接種回数や間隔がワクチンによって異なるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。持病をお持ちの方は、事前に医師に相談してください。
チャドの基本情報
チャドは、中央アフリカに位置し、リビアやカメルーン、ナイジェリアなどの国に囲まれる内陸国です。国土のほとんどが盆地で、北にはサハラ砂漠、南はサバンナです。首都ンジャメナは、チャド湖近くに位置し、フランスによって2つの川の合流点に設立されました。以下の表では、チャドの基本情報をまとめます。
国名 | チャド共和国(Republic of Chad) | 言語 | 仏語、アラビア語、部族語130以上 |
---|---|---|---|
宗教 | イスラム教、キリスト教 | 気候 |
チャド共和国では、北部と南部で気温が大きく異なります 北部はサハラ砂漠が広がるため乾燥しています。南部は雨量が多い傾向です |
服装 |
日中は乾燥していて日差しが強く、朝晩は冷え込むことが多いです 朝晩の寒暖差を考慮して、長袖のシャツやウィンドブレーカーなどを持参するのをおすすめします |
通貨 | CFAフラン |
チップの習慣 | チャド共和国では、一般的にチップを渡す習慣がありません | 文化 |
フランス語とアラビア語が公用語です 北部・中部にはイスラム教徒、南部はキリスト教が占めています |
時差情報 | 8時間です。(日本の方が8時間先に進んでいます。) | 治安情報 | チャド 危険・スポット・広域情報 |
チャドの渡航情報
チャドへの入国には、原則としてビザの取得が必要です。ここからは、チャド渡航情報の詳細を記載します。現在チャドには、退避勧告と渡航中止勧告が発出しているので、その点には注意してください。
ビザ情報 | 観光目的でチャドに渡航する場合には、ビザの取得が必要です。 |
---|---|
パスポートの必要有効残存期間 | 入国日から6カ月以上あることが条件です。 |
入国カードの記入について | チャドへの渡航には、入国カードの記入は必要ありません。 |
入国に必要な手続き
チャドに入国するまでに必要なものや手続きについては以下のとおりです。
必要なもの
チャド入国時には、航空券とビザ、パスポートが必要となります。
航空券
日本出国時に航空券の確認があります。すぐに出せるように手元に準備しておきましょう。
パスポート
パスポートは、チャド入国時に残存期間が6カ月以上なければなりません。残存期間が条件を満たしていない場合には、事前に更新しておきましょう。
ビザ
チャドへの渡航には、渡航目的にかかわらずビザの取得が必須です。日本にはチャドの公館はないため、中国などにあるチャド共和国大使館で申請しましょう。
必要な手続き
チャド入国時に行われる手続きは、入国審査と税関検査です。
入国審査
入国審査カウンターの列に進み、パスポートとビザを提示しましょう。ただし、2024年2月現在は、チャド全土に「退避勧告」「渡航中止勧告」が発令されているため、渡航は控えましょう。
Q&A
よくある質問
- BNTワクチンとは何ですか?
- BNTワクチンとは、SARS−CoV−2のスパイクタンパク遺伝子を使ったRNAをもとにしたワクチンで、新型コロナウイルス感染症のワクチンとしても使用されています。
- チャドで病気にかかることはありますか?
- チャド共和国では、黄熱・マラリア・デング熱に感染するリスクがあります。ワクチン接種がまだの方は、渡航前の接種を推奨します。
- マラリアの予防薬は毎日服用するのですか?
- 現地に到着する2日前から服用を開始し、滞在している間も毎日1錠ずつ飲み続けます。また、その地域を出国してからも、1週間の内服が続きます。
- 南米ではどのような予防接種が必須ですか?
- 主に、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・水痘・腸チフス・麻疹・風疹・狂犬病のワクチン接種を推奨しています。
- マラリアの予防接種はありますか?
- マラリアのワクチン接種はありません。前述の通り、予防薬はあるため、渡航前の服用を検討しましょう。
Popular place
人気の渡航先
今後行く可能性が高い、
渡航先のワクチン情報をチェックしましょう。
Information
各国で流行している感染症
渡航先の近くで流行している、または、今後国内で発生するリスクのある感染症を予習しておきましょう。
Colum
お役立ちコラム
Reservation
海外渡航前には
ゆとりをもってワクチン接種を。
渡航先や目的によって予防接種の種類はさまざま。
複数回摂取が必要なワクチンも。
以下よりワクチンのご予約が可能です。