公開日:2024.03.14更新日:2024.05.02

インフルエンザとは?症状・ワクチンについて


インフルエンザには、毎年同じ時期に流行する季節性と、新しいウイルスの株の発生によるパンデミックが起こりやすい新型があります。

新型インフルエンザは、ウイルスの特徴や症状が従来のウイルスとは異なるため、確実な治療法が存在せず予防が難しい場合があります。

一方で季節性はタミフルなどの確立された治療法やワクチンがあるため、一般的な感染症対策で予防が可能です。

本記事では、インフルエンザの詳しい特徴や原因、症状と併せてワクチンやその他の予防法について解説します。

インフルエンザとは?

ンフルエンザウイルスに感染することで呼吸器症状があらわれる感染症であり、例年12月〜4月に季節性インフルエンザが流行します。

感染力が強く、飛沫感染や接触感染で容易に移ってしまいます。

症状があらわれる前日から強い感染力をもつため、ウイルスの保有者は気づかないまま感染を拡大させてしまう可能性が高いです。

重症化すると命を落とす危険性があり、とくに高齢者などの体の免疫力が低下している人は注意しなければなりません。

診断方法は迅速診断キットによる抗原検査が一般的です。

迅速診断キットによる検査は、20〜30分で結果が分かります。

他にも、咽頭ぬぐい液やうがい液などを検体とし、ウイルス分離を行って検査する方法や、血清診断がありますが、どちらも診断の確定まで2〜3週間と長い期間を要します。

元来の治療は対症療法が中心でしたが、1998年にアマンタジンというA型インフルエンザの治療薬が導入されました。

その後タミフルやリレンザが登場し、現在はこれらが主流の治療薬となっています。

化学療法と併せて、安静療法や十分な睡眠、栄養・水分の摂取も欠かせません。

インフルエンザの原因

インフルエンザの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」の2つです。

感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫にはインフルエンザウイルスが存在しており、その飛沫に触れたり、放出されたウイルスを吸い込んだりして感染することを「飛沫感染」といいます。

家庭内や学校、職場、満員電車など人が集まりやすい場所で発生しやすいため、流行時期は気をつけなくてはなりません。

一方の接触感染は、感染者が咳やくしゃみをし、手にウイルスが付着した状態でさまざまなものを触り、それを触った別の誰かが、ウイルスが付着した手で目や鼻などの粘膜を触れて感染することをいいます。

電車やバスの吊り革、手すり、ドアノブ、エレベーターのボタンなど、人の手が触れるものから感染するため、こまめな手洗いや消毒が予防のために大切です。

上記のとおり、インフルエンザは予防しやすい病原体であるため、気をつけて過ごすことで感染・発症の抑制は可能です。

インフルエンザの症状

インフルエンザの主な症状は以下のとおりです。

  • 高熱
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • 頭痛
  • 悪寒
  • 鼻水
  • 喉の痛み
  • 胸の痛み
  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振 など

インフルエンザは、1〜3日の潜伏期間を経た後に上記のような強い全身症状を発症します。

また、38℃を超える高熱により脱水症状を起こすリスクもあります。

高齢者、呼吸器系・循環器系・腎臓に慢性的な病気を持っている人、糖尿病などの代謝系の疾患がある人、免疫が低い人は、症状が悪化したり別の細菌感染症の合併を起こしたりするリスクが高いです。

入院措置になるほど状態が悪くなるケース、残念ながら亡くなってしまうケースもあるため、医療機関で適切な治療を受けましょう。

一般的にインフルエンザは1週間程度で完治し、その内発熱症状が3〜5日間続きます。

インフルエンザワクチン接種と予防方法

ワクチンの種類や料金の目安、副反応、その他にできる予防方法について解説します。

インフルエンザは世界的にみられる感染症ですので、海外に行く予定のある人はとくによく目を通しておきましょう。

・インフルエンザワクチンの種類と料金目安

インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行が予想されるウイルスを使って製造されるため毎年中身が変わります。

インフルエンザウイルスは、A型やB型でも毎年変異して株が異なるため、1年前のワクチンを使用しても予防効果は期待できません。

2023〜2024年の場合、以下のワクチンを使用します。

  • A/Victoria (ビクトリア) / 4897/2022(IVR-238) (H1N1)
  • A/Darwin (ダーウィン) /9/2021(SAN-010)(H3N2)
  • B/Phuket (プーケット) / 3073/2013(山形系統)
  • B/Austria (オーストリア) / 1359417/2021(BVR-26)(ビクトリア系統)

当院の取り扱いワクチンについてはお問い合わせください。

当院の場合、1回につき3,960円で接種可能です。

健康保険は適用されないため全額自己負担となりますが、予防接種法の対象者は市区町村によって補助されるケースがあります。

気になる人は、現住所の市区町村の保健所や保健センター、医師会、医療機関に相談してみてください。

加えて、健康保険組合によっては補助金がおりるケースもあるため、一度確認してみましょう。

・インフルエンザワクチン接種スケジュール

日本におけるインフルエンザの流行は例年12月〜4月にきて、1月〜3月にピークを迎えるため、12月までに接種を完了させておくことをおすすめします。

とくに、9月〜11月の時期の接種が望ましいです。

接種回数は、13歳以上は原則1回です。

「13歳以上は2回注射」とワクチンの添付文書に記載されている場合がありますが、健康体の大人や慢性的な病気がある人を対象として行われた研究では、0.5mlの接種で2回の接種と同等の予防効果があると報告されています。

ワクチンによる予防は以下の人に推奨されています。

該当する人は可能な限り12月までに接種を完了させておきましょう。

  • 生後6ヶ月以上のすべての人
  • 妊婦
  • 免疫力が低下している人
  • 喘息がある人
  • 脾臓が無い人、あるいは機能が低下している人 など

・インフルエンザワクチン接種の副反応

副反応として発症する可能性のある症状は以下のとおりです。

  • 赤み
  • 腫れ
  • 痛み
  • 発熱
  • 悪寒
  • 倦怠感
  • アレルギー反応
  • 筋肉痛

症状としては、蕁麻疹やかゆみ、赤み、発疹があり、まれにアレルギー反応が起こることもあります。

重篤な副反応として、以下の症状がみられることがあります。

  • ギランバレー症候群
  • 急性脳症
  • 急性散在性脳脊髄炎
  • けいれん
  • 肝機能障害
  • 喘息発作
  • 紫斑 など

基本的に副反応の症状は接種から30分以内に起こることが多いです。

ただし、重篤な副反応に関してはすぐには発症しないケースもあるため、体調の異変に注意しながら過ごしてください。

・インフルエンザの予防方法

インフルエンザの基本的な予防方法は以下のとおりです。

  • 流行する前にワクチンを接種する
  • 日頃から手洗い・うがい・消毒をする
  • 咳エチケットを意識する
  • 人混みを避ける
  • 湿度を50〜60%で維持する
  • 免疫力を下げないよう規則正しい生活を送る

インフルエンザを予防する上で大切なことは「ウイルスを体内に侵入させないこと」そして「免疫力を下げないこと」です。

手洗い・うがい・消毒で体内にウイルスを侵入させないようにしたり、湿度を調整してウイルスを不活性化させたり、栄養バランスの整った食事や十分な睡眠を取ったりしましょう。

インフルエンザの感染リスクのある地域(国名のみ)

新型コロナウイルス感染症が流行し始めた2020年のシーズン以降、世界的にインフルエンザの流行はみられていませんでした。

しかし、オーストラリアで2022年にインフルエンザが大流行し、流行が継続する兆しがあります。

オーストラリアでは6月〜9月に流行するため、この流行時期にオーストラリアへ訪れる予定のある人は、感染予防のために渡航前にワクチンを接種しましょう。

Q&A

インフルエンザに関するよくある質問

インフルエンザはどれが一番辛いですか?
インフルエンザはウイルスの種類によってタイプが分類されており、人に感染するものはA型・B型・C型があります。 なかでも感染力が強いとされているのがA型であり、B型・C型と比べて症状も強く、体質によっては重篤化することもあります。
インフルエンザになったら外出禁止ですか?
一般的に、インフルエンザ発症後7日目でも鼻や喉からウイルスを放出している可能性があります。よって、発熱など目立つ症状が改善されていても他の人に感染させてしまうことがあるので、基本的には発熱が治まってから2日目までは外出を自粛したほうがよいです。
インフルエンザは何日で人にうつさない?
厚生労働省によると、インフルエンザの発症前日から発症後3〜7日間にかけては、外出の自粛が推奨されています。よって、人に感染するリスクが減少するのは8日以降といえるでしょう。

この記事の監修者

著者

記事担当:笹倉 渉

MYメディカルクリニック渋谷の非常勤医。麻酔科標榜医・日本医師会認定産業医の資格を持つ。

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