公開日:2024.02.29更新日:2024.02.29

海外旅行前にワクチン接種が必要になる国や地域・感染症リスト


海外旅行に出かける際、多くの準備が必要ですが、中でも特に重要なのがワクチン接種です。世界各国には地域特有の感染症が存在し、中には重症化しやすいものもあります。そのため、旅行先の国や地域によっては特定の感染症への予防対策が不可欠です。

例えば、アフリカや南米の一部地域では黄熱病のリスクが高く、これに対するワクチン接種が求められることがあります。アジアやアフリカの一部では日本脳炎が流行しており、長期滞在や農村地域への訪問を計画している場合は接種が推奨されます。

また、中東やアフリカの一部地域では、髄膜炎菌の感染リスクが高いため、特定の髄膜炎ワクチンの接種が必要になることもあります。このように、さまざまな国で、多様な感染症のリスクがあります。本記事では、あなたの海外旅行が楽しいものになるよう、ワクチン接種が必要になる国・地域や、感染症についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

 

海外旅行前には感染症対策のワクチン接種が必要になることも

海外旅行を計画する際、感染症対策としてのワクチン接種の重要性は無視できません。特に、訪れる国や地域によって必要とされるワクチンは異なり、地域特有の感染症に対処するためには、適切なワクチン接種が不可欠です。例えば、アフリカや特定のアジアの国々では黄熱病や日本脳炎のワクチンが推奨されます。

また、ワクチン接種は一度で完了するものではない場合が多く、数回に分けて接種する必要があるものもあります。加えて、いくつかのワクチンは、完全な効果を発揮するためには接種後数週間を要するため、旅行の計画段階で早めに接種を開始することが重要です。

さらに、長期間の海外滞在では、感染症にかかるリスクが高まることがあります。そのため、長期滞在予定の場合は、感染症対策としてワクチン接種を念入りに行うことが推奨されます。また、旅行期間が延びることで必要となるワクチンの種類も増える可能性があり、旅行先の感染症状況に応じた予防措置を講じることが重要です。

これらのワクチン接種は、個人の健康保護はもちろんのこと、訪問先の地域や帰国後のコミュニティの保護にも貢献します。そのため、旅行前には最新の情報を確認し、医療機関での相談を通じて適切なワクチン接種計画を立てることが肝要です。適切な準備と予防措置によって、安全で健康的な海外旅行を楽しむことができます。

海外旅行前にワクチン接種が必要・推奨されている主要な感染症リスト

海外旅行前にワクチン接種が必要、あるいは推奨されている主要な感染症についてご紹介します。

A型肝炎

A型肝炎は、特にアジア、アフリカ、中南米などの地域で一般的な病気であり、加熱されていない食品や水などを通じて感染することがあります。70歳以下の人々では抗体の保有率が比較的低いため、この年齢層にはワクチン接種が特に推奨されます。

A型肝炎のワクチンは、最初の接種後2~4週間を開けて2回目を接種することが一般的です。また、6ヶ月以上の期間をその地域で過ごす予定がある場合、6ヶ月後に追加接種を行うことで、ワクチンの効果が5年以上持続するとされています。

B型肝炎

B型肝炎の主な感染経路は、思春期以降に性交渉を通じた唾液や体液の密接な接触からの感染と、出産時に母親から新生児に伝わる感染の2つです。成人での感染は一過性が多く、急性肝炎を経験するか、症状の現れない無症状感染となることがあります。

B型肝炎に対する予防としては、ワクチン接種が有効です。このワクチンは、最初の接種から4週間後に2回目を行い、その後20~24週間後に3回目の接種が必要です。この接種スケジュールに従うことで、B型肝炎からの保護を得ることができます。

破傷風

破傷風は傷口を通じて感染する病気です。途上国などではけがをしやすい環境が多く、重篤な症状を引き起こす可能性もあるため、ワクチン接種の検討が特に重要です。

日本では、破傷風とジフテリアの予防接種は12歳で定期的に行われているため、その時に接種を受けた場合、20代前半までは免疫が続きます。それを過ぎると、約10年ごとに1回の追加接種が推奨されます。このワクチンは、破傷風による深刻な健康リスクを軽減するための有効な手段です。

狂犬病

狂犬病は発症した場合、ほとんどのケースで死に至る非常に危険な病気です。特にアジアやアフリカの地域で発生が多く見られます。狂犬病のワクチンには2つのタイプが存在し、それぞれの接種方法が異なりますが、いずれの場合も感染に暴露される前には3回の接種が基本的に必要です。

黄熱

黄熱は、主にアフリカや南米で発生し、蚊を介して伝播するウイルス性感染症です。この病気の致死率は一般的に5~10%とされていますが、流行時や免疫を持たない旅行者の中では、致死率が60%を超えることも報告されています。黄熱病に対する予防接種は重要で、一部の国では入国時や乗り継ぎの際に、黄熱予防接種証明書の提示を求めることがあります。

ポリオ

ポリオはポリオウイルスが原因で発生する病気で、急激な麻痺を引き起こす可能性があります。この病気は特に中東やアフリカの一部の国々で流行しています。世界保健機関(WHO)は、ポリオが発生している国への渡航を計画している場合、過去にポリオの予防接種を受けた人でも、出発前に追加接種を行うことを推奨しています。ポリオウイルスによる感染は深刻な健康問題を引き起こす可能性があるため、流行地域への旅行前には特に注意が必要です。

日本脳炎

日本脳炎は、高い死亡率を伴い、生存者に後遺症をもたらすことが多い深刻な病気です。この病気は主にアジアの一部の国々や地域で流行しています。予防のためのワクチン接種は、最初の接種から1~4週間後に2回目を行い、その後約1年後に1回の追加接種をすることで基礎免疫が完成します。

風しん

風しんは皮膚の発疹、リンパ節の腫れといった症状が特徴的ですが、感染者の約15~30%は無症状のままであることがあります。現在、風疹の予防として、2回のワクチン接種が定期的に行われています。これまで風疹の予防接種を受けていない方や、ワクチンを1回しか接種していない方、または過去の接種歴が不明な方には、ワクチン接種が推奨されます。

麻しん

麻しんは発熱、咳、鼻水、結膜の充血、皮膚の発疹といった症状を引き起こす病気ですが、稀に肺炎や脳炎を発症し、これが原因で死亡するケースも先進国で報告されています。

過去にワクチンを受けたことがない方、ワクチンを1回しか接種していない方、または過去の接種歴が不明な方には、ワクチン接種を受けることをおすすめします。

ジフテリア

ジフテリアは、感染者の咳やくしゃみなどを介して人から人へと感染する疾患です。日本では、12歳の時に行う定期的な2種混合ワクチン(DT)によって、20代前半まで免疫が続くため、その期間は追加のワクチン接種が通常不要です。しかし、20代前半を過ぎた後は、約10年ごとに1回の追加接種が必要となり、これによって免疫を維持することができます。

髄膜炎菌感染症

髄膜炎菌は複数のタイプが存在し、その中でもA群はアフリカのサハラ砂漠南部に位置する「髄膜炎ベルト」と呼ばれる東西に長い地域で主に流行しています。また、メッカへの巡礼を通じて西アジア地域でも時々流行が起こります。一方、日本や欧米ではB群、C群、Y群、W-135群が学生を中心に集団感染の原因となることがあります。これらの感染は、キスやコップの共有、狭い空間での共同生活(例えば寮生活)など、長時間にわたる密接な接触によって引き起こされます。

新型コロナウイルス

みなさんご存知、新型コロナウイルスにも気をつけたいところです。一部の国や地域では、ワクチン接種証明書が必要なこともあります。

国・地域ごとに海外旅行前にしておくべきワクチン接種

国や地域ごとに、海外旅行前にしておくべきワクチン接種についてご紹介します。

北米

北米では、破傷風、B型肝炎、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザなどの予防接種が推奨されています。

中南米

中南米では、黄熱病、A型肝炎、破傷風、B型肝炎、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザなどの予防接種が推奨されています。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、破傷風、B型肝炎、ダニ媒介性脳炎、B型肝炎、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザなどの予防接種が推奨されています。

東アジア

東アジアでは、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、日本脳炎、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザなどの予防接種が推奨されています。

東南アジア

東南アジアでは、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、破傷風、日本脳炎、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザなどの予防接種が推奨されています。

南アジア

南アジアでは、ポリオ、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、日本脳炎、麻しん、風しん、水ぼうそう、インフルエンザなどの予防接種が推奨されています。

中東

中東では、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、髄膜炎菌、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザなどの予防接種が推奨されています。

アフリカ

アフリカでは、黄熱病、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、ポリオ、髄膜炎菌、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザ、マラリア予防薬などの予防接種が推奨されています。

海外旅行前にはワクチン接種を忘れずに

以上、海外旅行前に必要なワクチン接種についてご紹介しました。海外旅行前には、行き先の国や地域でどんなワクチン接種が必要とされているのか、必ず調べることを忘れないようにしましょう。

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