渡航前の推奨ワクチン

ネパールは、中国とインドに隣接する内陸国です。南にはタライ平原が広がり、北にはヒマラヤ連山があります。ネパールに渡航する前に接種すべきワクチンは、A型肝炎・B型肝炎・日本脳炎・破傷風・腸チフスの5種類です。

A型肝炎
感染経路 A型肝炎は、主に飲食物や生水から感染します。具体的には、ウイルスに汚染された牡蠣や二枚貝などの海産物を摂取することで感染します。また、性行為による感染も報告されています。
症状 感染すると、発熱、吐き気、嘔吐、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、全身のだるさなどの症状が現れます。
ワクチンについて 重症化した場合は、1カ月以上の長期にわたって入院しなければならない可能性もあるため、事前にワクチン接種をしておくのがよいでしょう。ワクチン接種は1回目から2~4週間後に2回目を接種するスケジュールとなります。さらに、2回目の接種から6カ月後に3回目の接種を行うとより免疫が強化されます。
B型肝炎
感染経路 B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで発症する感染症です。感染が持続すると慢性肝炎になり、だんだんと肝臓の機能が低下します。感染経路は大部分がキャリアの母親から出生時に感染する母子感染ですが、乳幼児期に家族内などで水平感染する場合もあります。成人の感染経路は、多くが感染しているパートナーとの性交渉などの接触です。
症状 症状は、食欲不振や吐き気、倦怠感、腹痛、嘔吐など多岐にわたります。
ワクチンについて ワクチン接種は1回目から4週間の間隔をあけて2回目の接種、1回目から5~6カ月あけて3回目の接種となります。
日本脳炎
感染経路 日本脳炎は、主にコガタアカイエカにより媒介されるウイルス感染症です。主にブタの体内でウイルスが増幅し、そのウイルスを保有した蚊に刺されることにより感染します。不顕性感染であれば症状が出ませんが、幼児や高齢者の場合、発症する確率が高くなります。感染者のうち、100~1,000人に1人の割合で発病すると言われています。
症状 症状は6~16日程度の潜伏期間を過ぎると現れ、頭痛、高熱、嘔吐などです。他にも意識障害、けいれん、筋肉の硬直などの重篤な症状が出る可能性もあります。重症になると50%が死亡するとされ、生存しても30~50%の確率で精神障害や運動障害などの後遺症が残るとされる危険な感染症です。
ワクチンについて ワクチンは、1回目から1~4週間をあけて2回目接種、2回目から1年後に3回目接種となります。
破傷風
感染経路 破傷風は、破傷風菌が生成する毒素により生じる感染症です。破傷風菌は、酸素の少ない環境で繁殖し、全世界の土壌に広く分布しています。傷口が土などで汚れると、破傷風菌が体内に侵入し、傷内の酸素が少ない環境で増殖し、毒素を生成します。
症状 この毒素は、筋肉のけいれんや硬直を引き起こします。
ワクチンについて 破傷風の予防策としては、ワクチンの接種が重要で、日本では年間約100人が破傷風を発症し、そのうち5~9人が破傷風により命を落としています。ワクチン接種は、2回目の接種が1回目から3~8週間後、3回目を受ける場合には2回目終了後から1年~1年半後となります。
狂犬病
感染経路 狂犬病は、主に犬などの感染した動物から人間へと感染します。感染源となる動物の唾液にウイルスが含まれており、人間の傷口や粘膜を通じてウイルスが侵入することで感染するとされています。さらに、ウイルスが付着した動物の爪による引っ掻き傷からも感染の可能性があります。
症状 感染から約10日後、発熱や頭痛、全身の倦怠感、嘔吐などの初期症状が現れます。その後は興奮状態や幻覚、精神的な混乱といった症状が現れ、呼吸困難や昏睡状態に陥った後、高確率で死に至ります。
ワクチンについて 狂犬病が存在する外国への渡航前にはワクチンの接種を受けることが重要です。ワクチン接種は2回目接種が1回目から1週間あけて行われ、3回目接種を受ける場合は1回目接種から3~4週間後となります。
腸チフス
感染経路 腸チフスは、ヒトだけが感染する感染症で、感染者や保菌者の排泄物により汚染された食べ物や飲み物を摂取することで感染します。また、一度熱が下がった後でも、約20%の患者に再発が見られます。腸出血や腸穿孔のリスクもあります。治療は抗菌薬を用いて行われますが、特にアジア地域では薬剤耐性を持つ菌(抗生物質が効かない菌)の存在が報告されています。
症状 感染から約10~14日の潜伏期間を経て、高熱、頭痛、全身のだるさなどの症状が現れます。特徴的な症状は持続する高熱で、下痢を伴うこともあります。典型的な症状としては、バラ疹(胸や腹部に出る淡い赤色の発疹)、肝臓や脾臓の腫れ、意識の混乱、徐脈(心拍数の低下)などがあります。
ワクチンについて 腸チフスを予防するためには、事前のワクチン接種が有効です。ワクチンは1回の接種で効果が期待できますが、効果が現れるまで2週間はかかるため、渡航スケジュールに合わせた計画的な接種を検討しましょう。

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各種ワクチン金額相場

以下では、各種ワクチンの金額相場をまとめました。

ワクチン名 相場価格/回
A型肝炎ワクチン 1万円前後/回
B型肝炎ワクチン 5,000〜8,000円/回
日本脳炎ワクチン 5,000〜9,000円/回
破傷風ワクチン 3,000〜5,000円/回
狂犬病ワクチン 1万5,000〜2万円/回
腸チフスワクチン 1万円前後/回

当クリニックでは、A型肝炎・B型肝炎・日本脳炎・破傷風・狂犬病・腸チフスのワクチン接種を承っております。事前のワクチン確保のため、予約制となっております。当日接種をご希望の際は事前にお問い合わせください。

ネパール渡航前ワクチン(予防接種)を
接種する時期と必要回数

感染症を予防するワクチンには、数回接種が求められるものも複数あります。ここからは、ネパール渡航に際して接種を推奨するワクチンの時期・必要回数を解説します。

病名 ワクチンの種類 0日 1週間 2週間 3週間 4週間 8週間 3ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 18ヶ月
A型肝炎 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
B型肝炎 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
日本脳炎(国産) 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目(2回目終了後、1年後)
日本脳炎(輸入) 不活化ワクチン 1回目
破傷風 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目(2回終了後1年~1年半)
狂犬病 不活化ワクチン 1回目 2回目 3回目
腸チフス 不活化ワクチン(※) 1回目
病名 ワクチンの種類
A型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 2回目 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 3回目 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
B型肝炎 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月 3回目
6ヶ月 3回目 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
日本脳炎(国産) 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間 2回目
2週間 2回目 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月 3回目(2回目終了後、1年後)
18ヶ月 3回目(2回目終了後、1年後) 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
日本脳炎(輸入) 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
破傷風 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間 2回目
4週間 2回目 8週間 2回目
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月 3回目(2回終了後1年~1年半)
18ヶ月 3回目(2回終了後1年~1年半) 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
狂犬病 不活化ワクチン
期間
0日 1回目 1週間 2回目
2週間 3週間 3回目
4週間 3回目 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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病名 ワクチンの種類
腸チフス 不活化ワクチン(※)
期間
0日 1回目 1週間
2週間 3週間
4週間 8週間
3ヶ月 5ヶ月
6ヶ月 12ヶ月
18ヶ月 24ヶ月
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※生ワクチンもありますが、国内では主流ではありません。

ワクチンには、1回で接種が完了するものから、数カ月かけて複数接種するものがあります。また、効果が出るまでに日数がかかる場合もあるため、ワクチンを接種する方は、余裕を持った接種計画を立てることが大切です。なお、暴露後の狂犬病ワクチン接種は別スケジュールとなります。

 

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ネパールの基本情報

ネパールは、仏教とヒンドゥー教が共存する多様な文化を持ち、美しい寺院や古代遺跡が点在する国です。首都はカトマンズで、人口は約3,000万人。世界最高峰のエベレストを含む8,000メートル級の山々がそびえています。ネパールの基本情報については以下の通りです。

国名 ネパール(Nepal) 言語 ネパール語
宗教 ヒンドゥー教・仏教・イスラム教 気候 亜熱帯気候で雨季(6〜9月)、乾季(10〜5月)に分かれています。
服装 基本的に半袖で過ごせます。ただし、雨季は長袖シャツやジャケットなどを用意するとよいでしょう 通貨 ネパール・ルピー
チップの習慣 高級ホテルやバーなどでは、チップが必要となる場合があります。
・ポーターやルームサービス:10~20ルピー
・レストラン:サービス料が加算されていなければ料金の10%程度
文化 ネパールでは左手が不浄と信じられているため、食事の際は必ず右手で食べ物を持つよう注意しましょう。同様に左手で握手するのもNGです
ネパールでは日本の一般的な習慣とは異なり、頭を横に傾けると「YES」の意味となります
時差情報 -3時間15分(日本の方が3時間15分進んでいます。) 治安情報 ネパール 危険・スポット・広域情報

ネパールの渡航情報

日本国籍の旅行者がネパールに入国するには、滞在期間に関わらず観光ビザの取得が必要です。ネパール入国に際し、知っておくべき渡航情報をまとめます。

ビザ情報 ネパールに入国するためには、ビザを取得する必要があります。申請は駐日ネパール大使館か名誉総領事館にて可能です。
パスポートの必要有効残存期間 入国時、パスポートの有効残存期間6カ月以上あることが条件です。
入国カードの記入について 入国・出国ともに提出が必要です。

入国に必要な手続き

ネパールに入国するにはビザの取得や、必要であればパスポートの更新など、十分な準備をしなければなりません。ここからは、入国に必要なもの・手続きについて解説します。

必要なもの
ネパールへ入国の際に必要となるものは下記の通りです。

航空券
ネパールに渡航するには、航空券の準備が必要です。


パスポート
パスポートは、入国時に有効残存期間が6カ月以上あるものを用意しましょう。事前の確認を怠らず必要に応じて更新手続きを行いましょう。また、入国審査時に提示を求められるため、取り出しやすいところに携行しておくとスムーズに入国できます。


必要な手続き
ネパールへの入国の際に必要となる手続きについては以下の通りです。

ビザ申請
ネパールの入国には、滞在期間に関わらずビザが必要です。管轄区域はなく、駐日ネパール大使館・領事館にて申請できます。


入国審査
入国審査の際は「With Visa」のカウンターに並び、係員にパスポートと出入国カードを提示します。セキュリティチェックを受けたら、預けた荷物を受け取りに向かいましょう。


税関検査
預けた荷物の検査を受けるため、事前に申告が必要なものについては忘れずに手続きを行っておきましょう。気付かず違反すると荷物が没収され、罰則の対象となる可能性もあるため、注意が必要です。


出国に必要な手続き

つづいては、ネパールから出国する際に必要な手続きを解説します。事前に知っておくと、スムーズに帰国手続きが行えるポイントも紹介するので、ぜひ以下を参考にしてください。

必要なもの
ネパールを出国する際に必要なものを以下に示しました。紛失・盗難に合わないよう常に携行しておくのがおすすめです。

搭乗券
入国時と同様に搭乗券が必要です。出国審査の際にパスポートとともに提示を求められるため、すぐ取り出せるようにしておきましょう。


パスポート
カウンターにて搭乗券を受け取る際に提示が必要となります。


必要な手続き
ネパール出国に必要な手続きは以下の通りです。

余ったルピーの再両替
ネパール・ルピーは国外への持ち出しが禁止されているため、使わず残った分は空港にある銀行などで外貨へ両替しておく必要があります。ただし、空港内で全額両替できない可能性も考慮し、事前に両替を済ませておくのが賢明です。


搭乗手続き
カウンターに並び、パスポートと航空券を係員に提示します。荷物を預けた後は搭乗券を受け取りましょう。


出国審査
出国審査の係員に搭乗券・パスポート・出入国カードを提示します。その後、セキュリティチェックも完了したら搭乗できます。


Visit Japan Web
ネパールから日本に帰国する際には、Visit Japan Webを利用しましょう。事前手続きにより、入国審査・税関申告をスムーズに済ませます。利用の流れとしては、新規アカウントを作成し、案内に沿って必要な情報を入力するだけです。とても簡単にできるので、ネパールから帰国予定でまだ登録を終えていない方は、チェックしてみてください。


Q&A

よくある質問

ネパール滞在で注意すべき病気は?
ネパール滞在で注意すべき病気は、A型肝炎・B型肝炎・狂犬病・破傷風などです。水や氷には気を付け、動物にもなるべく触れないようにしましょう。また、各感染症のワクチン情報もチェックし、余裕を持った接種計画を立てることが大切です。
日本に入国するにはワクチン証明書は必要ですか?
2023年4月29日以降、日本入国時のワクチンの接種証明書・PCRの陰性証明書の提出は不要です。
ネパールに入国するにはどうすればよいですか?
滞在期間に関係なく、ビザの取得手続きを行う必要があります。事前に駐日ネパール大使館・総領事館にて手続きを行いましょう。
ネパールの医療事情について教えてください。
ネパールの医療水準は先進国と比較すると高いとは言い難いのが現状です。ネパールの医師は首都のカトマンズに局在しているため、地方では医師不足が問題視されています。外国人が医療サービスを受ける際には、私立の医療施設を利用することが多く、医師とのやり取りは英語で行われます。
ネパールの水は飲めますか?
ネパールの上水道は未整備な地区が多く、塩素消毒が不十分な可能性が高いとされます。また、水を介する感染症の感染例が多数報告されているため、水道水やペットボトルの水も含めて、飲む際は煮沸や塩素消毒などの処理をすることを推奨します。

Popular place

人気の渡航先

今後行く可能性が高い、
渡航先のワクチン情報をチェックしましょう。

ミクロネシア

マーシャル

ボスニア・ヘルツェゴビナ

Information

各国で流行している感染症

渡航先の近くで流行している、または、今後国内で発生するリスクのある感染症を予習しておきましょう。

マラリア

腸チフス

ヒトパピローマウイルス

Colum

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海外出張の際に必要な持ち物リスト。持って行った方が良いものは?

Reservation

海外渡航前には
ゆとりをもってワクチン接種を。

渡航先や目的によって予防接種の種類はさまざま。
複数回摂取が必要なワクチンも。
以下よりワクチンのご予約が可能です。

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