公開日:2025.10.22更新日:2025.10.22

海外渡航の予防接種の料金は?ワクチン別の相場と注意点を解説


海外赴任・留学・旅行などで海外に渡航する際、感染症対策として予防接種は欠かせません。しかし、「どのくらい費用がかかるのか」「保険は使えるのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、海外渡航前に受ける予防接種の料金相場や、費用を抑えるコツを分かりやすく解説します。

海外渡航の予防接種は自費診療

海外渡航のためのワクチン接種は、原則として公的医療保険の対象外です。そのため、トラベルクリニックや一部の医療機関での接種は全額自己負担となります。

これは、海外渡航を目的としたワクチンが「日常生活での感染症予防」ではなく、特定の地域や行動に伴う感染リスクに備える医療行為と位置づけられているためです。

ただし、例外もあります。破傷風など外傷治療を目的とする場合や、国内で感染症が流行している際に推奨される一部ワクチンについては、条件によって保険が適用されることもあります。

いずれにしても、接種を受ける前に、自費か保険適用かを医療機関で確認しておくことが重要です。

ワクチンの料金相場

海外渡航で必要となる代表的なワクチンの費用をまとめました。金額はあくまで1回あたりの目安であり、クリニックやワクチンの種類によって変動する場合があります。

ワクチン名 費用相場(1回あたり) 備考
A型肝炎 約7,000~15,000円 2回接種で長期免疫を獲得。出発直前でも1回目で一定の効果あり。
B型肝炎 約5,000~9,000円 3回接種(0・1・6カ月)が標準。短期滞在者は加速スケジュールも相談可。
狂犬病 約15,000~20,000円 暴露前接種(0日・7日または0・7・21日法)。施設により価格差あり。
黄熱 約18,000~23,000円(証明書含む) 検疫所や指定医療機関のみで接種可能。接種10日後に証明書が有効化。
腸チフス 約8,000~11,000円 注射型は1回、経口型は4回服用。出張者や留学生に推奨。
日本脳炎 約6,000~8,000円 2回接種が基本。農村部や長期滞在者は早めの接種を。
麻しん・風しん 約10,000~13,000円 2回接種が推奨。抗体検査を併用するとより確実。
破傷風 約3,000~6,000円 5~10年ごとの追加接種が推奨。

※料金はクリニック・在庫状況・輸入ワクチンの有無によって異なります。受診前に各施設の最新情報を確認しましょう。

国内と輸入ワクチンで費用が異なる

同じ種類のワクチンでも、国内製と輸入製では価格に差があります。

例えば、A型肝炎ワクチンでは国産型が約8,000円前後、輸入型(Havrix)は約15,000円と、およそ倍の開きがあります。また、狂犬病ワクチンも国産型(Rabipur)と輸入型(Verorab)で数千円の差が生じます。

輸入ワクチンは、WHO(世界保健機関)推奨株を使用していたり、国際証明書の発行に対応していたりすることが多く、留学や海外勤務などで書類提出が必要な方には輸入株を指定されるケースもあります。

接種前には、渡航先の要件やビザ条件、学校・勤務先が求める接種証明の形式を確認しておきましょう。

予防接種以外にかかる費用

ワクチン代のほかにも、診察料や証明書発行料などの追加費用がかかる場合があります。金額はクリニックや渡航目的、提出書類の有無によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

項目 費用の目安 補足
初診料・再診料 約2,000~3,000円前後 ワクチン代とは別に発生。初回カウンセリング料を設定している施設もあり。
英文接種証明書作成料 約3,000~6,000円(高い場合は10,000円超) 留学・ビザ申請・海外赴任時に必要。発行まで数日~1週間程度かかることも。
相談料・診察料 約2,000~5,000円 渡航先や滞在期間に応じて医師が接種スケジュールを作成。
抗体検査費用 約3,000~8,000円 既往感染や免疫の有無を確認するための採血検査。麻しん・風しん・B型肝炎などが対象。

 

英文証明書が必要な場合は、発行までに数日~1週間程度を要することが多く、複数回のワクチン接種が必要な場合もあります。そのため、遅くとも渡航の1カ月前までに受診しておくのが理想的です。

クリニックによって価格差が生じる理由

同じワクチンでも、医療機関によって料金が異なることがあります。

その主な要因には、次のようなものがあります。

  • ワクチンの仕入れルート(国産品か輸入品か)の違い
  • 証明書発行料や診察料の設定の有無
  • 医師の専門資格(旅行医学・感染症専門医など)や診療体制の違い
  • 立地条件(都市部や空港周辺など)による運営コストの差

さらに、在庫状況や流通コストの変動によっても価格は上下します。そのため、複数のトラベルクリニックで料金・在庫・予約枠を比較してから受診先を決めると安心です。

海外旅行保険との関係

トラベルクリニックで受ける予防接種の費用は、原則として海外旅行保険の補償対象外です。保険が適用されるのは、渡航先で病気やけがをした際の治療費などに限られます。

ただし、法人契約の海外保険や企業の福利厚生制度によっては、赴任前の健康診断や予防接種の費用が一部カバーされる場合もあります。

企業赴任や長期出張を予定している方は、会社の人事部門や医務担当者に事前確認しておくと安心です。

費用を抑えるための3つのポイント

海外渡航の予防接種は、ワクチン代だけでなく診察料や証明書作成費などもかかるため、想定以上に費用がかさむことがあります。

しかし、ちょっとした工夫や準備で、出費を抑えながら必要な接種を完了することも可能です。

ここでは、無理なく費用を抑えるために知っておきたい3つのポイントを紹介します。

トラベルクリニックの医師に相談する

同じ渡航先でも、必要なワクチンは人によって異なります。医師に相談することで、本当に必要なワクチンだけを選び、不要な接種を避けることができます。

トラベルクリニックとは、海外渡航者向けに、感染症予防や健康管理の相談を専門に行う医療機関です。渡航先・滞在期間・目的に応じて、最適な接種プランを提案してもらえるため、結果的に費用や回数を無駄にせずに済むケースが多くあります。

また、英文の予防接種証明書や健康診断書の発行にも対応しており、留学・赴任・ボランティア活動など幅広い目的で利用されています。

複数回接種を計画的に受ける

短期間に複数のワクチンを個別で受けると、その都度診察料がかかり、費用がかさむこともあります。

同日にまとめて接種できるかを医師に相談し、計画的にスケジュールを組むことで、出発までに必要なワクチンを効率的かつ費用を抑えて接種できます。

複数回接種が必要なワクチン(A型肝炎・B型肝炎・狂犬病など)は、出発までの期間を逆算して早めに始めましょう。

企業・学校経由での補助制度を確認

海外赴任や交換留学などでは、勤務先や学校が予防接種費用の一部を補助してくれる場合があります。制度の有無は人事・総務、または留学担当窓口で確認してみましょう。

対象者であれば、トラベルクリニックの領収書や英文証明書の提出で補助を受けられるケースもあります。

予防接種の費用を抑えるコツは早めの相談

海外渡航前の予防接種は、費用と時間の両面で計画性が求められます。ワクチンによっては複数回接種や証明書発行が必要なため、出発直前では間に合わないこともあります。

まずは、トラベルクリニックで医師に相談し、渡航先や期間に合った接種プランを立てましょう。複数のワクチンをまとめて受けることで費用を抑えられる場合もあります。

「ワクチンナビ」では、渡航目的や地域に応じて最寄りのトラベルクリニックを検索できます。

費用の見積もりやスケジュールを早めに確認し、安心して渡航できる準備を整えましょう。

この記事の監修者

著者
author
author
記事担当:ワクチンナビ編集部

「ワクチンNavi」 は渡航前に確認しておきたい感染症の情報や、旅行・渡航に役立つ豆知識など様々な情報を発信しております。

前へ

Related article

関連記事

更新日:2025.10.22

海外渡航の予防接種の料金は?ワクチン別の相場と注意点を解説

更新日:2025.10.22

海外渡航の予防接種は当日でも受けられる?即日接種できるワクチンと注意点

更新日:2025.10.22

スイス旅行の費用は?3泊4日~1週間の目安や安い時期を解説

更新日:2025.10.22

グアム旅行の費用はいくら?3泊4日の場合や家族4人の予算も解説

更新日:2025.10.22

中国の医療費は高い?医療制度の仕組みと注意点

更新日:2025.10.22

イギリスの医療費は本当に無料?制度の仕組みと注意点を解説